欲深いのは悪魔か人間か１ (ページ45)

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「魔力にも個性が出るんだ・・・姉さん怪我はない？」

『大丈夫だよ、入間はどんな花が好きなの？』

「僕？えっとね・・「ミャオー」？」

入間の言葉を遮る鳴き声に２人で振り返る。
クララが凄い速さで制服の中に謎の魔植物を隠す。

「居ぬ！何も居ぬ！！」

「オイッ！！こっちなんか変なもん出たぞ！！」

ジャズが素早くクララの鉢を奪い、公開処刑が始まる。
顔を覆って照れるクララ。

「どう魔力を込めたらああなるのだ・・・」

「バーンとやったら、ギャーとなって、ドバーン・・・」

「いや、微塵も分からん。なぜ照れる？」

アスモデウスが呆然とクララに問いかける。

『クワンックワンッ』

バリーンと鉢が砕け、椿の生垣が四方に広がり、上部の観賞するスペースを塞ぐように生い茂る。
ポトリと咲いたばかりの花が一輪、Aの手元に落ちる。

「椿！姉さんにピッタリですね！！控えめな優しさとか誇りとか！！」

目を輝かせる入間。
Aはグシャリと花を握り、滴る蜜を舐める。

『表向きの綺麗な意味じゃなく、裏の方が私は好きなんだ』

「裏？」

「ふいっ！土もなく自生できてるなんて快挙ですよっ！」

スージーは興奮したように、初めてみる花に感動したように、クラスメイト達も血のように赤く甘い香りの花に興味を持つ。

「クワンックワンッ・・・なんちゃって・・」

誰も注目していない今なら雰囲気だけでも！と入間が手を翳し唱えると携帯が鳴る

「やっほーおじいちゃんだよー！
　イエーイ初通話ー！！
　いやね、ひとつ言い忘れたんだけど
　ほら前にさぁ、その指輪に僕の魔力込めたでしょ？
　だから、君、今魔術使えるから！
　でも使っちゃだめだよー
　まだ出力の調整してないからね！
　ヘタに使ったら大変なことに・・・」

『救助！！』

椿の生垣から蔓が無数に伸び、全員を回収して生垣クッションへと着地させる。

『裏の贅沢や、罪を犯すって意味は知らないんだろうな』

轟音の中でAが暗く濁った眼で空を見上げる。