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「もう、カルエゴ君しつこいよ？」
「そうだよ、何の変哲もない羊皮紙でしょう？」
「いや、何故こんな高貴な御方の紋章を・・・」
何度も確認するカルエゴに、サリバンとバラムが呆れる。
「Aちゃんだからこそ、奇跡が起きるかもしれないでしょ！！」
サリバンが真剣に言う。
『私の場合、五分五分ですけどね・・・』
その後に続く言葉を呑みこみ、気怠そうにAが羊皮紙をひったくる。
召喚陣で躊躇く指を嚙み切ると甘い香りが部屋に充満する。
『どっちでもいいけど、失敗しても恨まないでね』
羊皮紙をローソクの中へ投げ入れる。
部屋に充満する甘い香りをかき消すような、室内では有り得ない風が起きる。
「おー・・・マジか・・・」
放心したような、けれど楽しそうな声が室内に響く。
「デルキラ様！！」
声の主を視認するよりも早く、サリバンが抱き着く。
「うぉ・・・え、この声は、さっちゃん？？剥げた？」
「うっ、うっ、・・・どれだけお待ちした事か・・・」
困惑するデルキラにサリバンが放すまいと、しがみつくように力をこめる。
「有り得ん」
「ま、まさか、成功するなんて・・・」
カルエゴとバラムが驚いたように口にする。
『貴方なら私を元に戻せる？』
Aがまっすぐ見つめて問う。
「ん？お前が俺様を召喚した元凶だな」
『戻せよ！そして還らせろ！！』
殺意を隠さずにAが叫ぶ。
「俺様が誰かわかっての物言いか？ん？」
ビリビリと息苦しい空気感に本物だと悟る。
カルエゴとバラムが慌てて礼の姿勢をとるが、Aは睨むのみ。
「・・・召喚された身だし許そう、で？」
『さっき使用したのが
Aが憎々し気に言いながら、無造作に手首を切り、ボタボタと血が地面に流れる
だが、先刻の甘く美味しそうな香りはしない。
「マジか、そんな事考えた事もない・・・人間を悪魔に・・」
デルキラが傷を塞ぎながら思案する。
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作者名：E | 作成日時：2024年1月11日 21時
