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俺一人凹んだまま、YouTubeの撮影がスタート。
とはいえ俺もプロだから、凹んでるなんて見せないようにしてるけど!
だけど、うん、凹んでます…
深「お!Aさんじゃん!ありがとねー」
ふっかさんの声で、ケーキを配ってくれるAさんのことに気がつく。俺、ボーッとしてたのかな。
…あれ?
Aさんと、目線が近い?
あ、そうか、俺が座ってるから…ってことは…
目「ありがとうございます」
ラ「…あの!」
突然呼び止めてしまった。だって…
ラ「この高さなら…怖くない…?」
A「怖くない…とは?」
ラ「だって…背が高いひと怖いんでしょ?話すのが辛いんでしょ?けど僕も、Aさんと仲良くしたいし…座ってたら大丈夫?怖くない?座ってても怖い?」
A「あー…」
背が高い人が近づいてくるのが怖いなら、この高さならどうだろう。これでも怖かったら…もうどうしようもないけど…
A「あのですね…怖いというのはこう、なんかトラウマがあるとか恐怖とかそういうことではないんです。
圧迫感というか…辛いって言うのもメンタル的なことは全く関係なくて、話すときに距離が近いと真上を向かなきゃいけないから、物理的に肩がこったり首が痛くなるんです。そういう意味で」
ラ「えっ…」
A「だから、このように座って頂いたりとか、距離をあければ真上を向かなくてすむのでそうしたりすれば、全然…
ラウールさんが嫌!とかではないんです。ほんと言葉が足りなくてすみません…」
なるほど…!確かにさっき、俺、ほぼ真下をみてた。俺が真下ってことは、Aさんからしたらほぼ真上。真上を見ながら話すって…首が痛くなるよね、なるほど!
ラ「わかった!近づけないのは悲しいけど…話せないのはもっと悲しいもんね!これからよろしくお願いします!」
A「うわっ…!!」
座ったままぎゅっと抱きついてみる。
だってさ!俺のことが嫌いじゃなかった。俺のことが怖いんじゃなかった。
俺だって、仲良くなれる!
それが、凄く嬉しいんだもん!
佐「わわっ!ラウール!お前ずるいぞ!」
目「ラウール離れろ」
深「おれもまだぎゅーしてないのに何してんの わら」
岩「はいそこまでー」
樺「ほら、仲良くなったのはいいけど、撮影おすから。今日2本撮りなんだから次に行かせてくれよ。ラウール離せ」
ラ「えぇーーーー」
小さくて柔らかいAさんからしぶしぶ体を離す。さっきまでと違って、心は晴れやかだった。
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作者名:まめ | 作成日時:2022年10月22日 14時