その先へ～I'd like to approach～ (ページ35)

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押し付けられた仕事は思いやりページ35

天音先輩から頼まれた仕事も
半分くらい終わりかけた頃

「咲坂、ごめんだけど、これもお願い」

今度は私の目の前に座る
二宮から仕事を頼まれた

「期日とか訂正箇所は、貼ってある付箋で確認して。あとさ、今日俺も早くあがることにしたから」

「りょーかーい」

二宮も早くあがるのか…
ちょうどいいや。一人のほうが集中できるし

しかし…受け取った書類、結構量あるなぁ
まぁ、今日の残業で何とか処理できるか

締め切りはーと、二枚目をめくって
言われた通り確認すると

もう一枚、黄色い付箋が貼ってあった

“抜け駆けしやがってコノヤロー！
羨ましい…今度ビール奢れや。
存分に話、聞いてやるから、
今日は俺が押し付けられた仕事でも、
やってろ！”

だよね…二宮が何もしないはずないもんね…

まさかこんな方法で仕掛けてくるとは(笑)

私はさ、もっとロマンチックな
付箋のやり取りが理想だったのよ…

ほら、ドラマとかでもやってるじゃない？

“今日○時に待ち合わせね”みたいなやつ

付き合ってないし、ただの同期だから
そんなことあるわけないし、期待もしてないけど

しかも、多いと思ったら…
自分が任された仕事を、全部私に回したなんて(笑)

まぁ、これも二宮の優しさだったりするんだよね

だって“存分に聞いてやる”って書いてあるし

話を聞いてくれるなら
ビールの一杯や二杯安いもんだよ

「ありがたく、処理させていただきます」