予定表ボードの“直帰”＊[N side] ページ21
「(定時まであと、3時間か…)」
喫煙ルームでしゃがみながら
ゲームアプリを起動する…
[どうもどうも、杉浦専務。今日でしたね…]
「(ちっ…喫煙ルームで電話なんかするなよ…)」
俺がしゃがんでて見えなかったからか
誰かが電話しながら入ってきた
「(この声は、加賀谷次長か。電話の相手は、杉浦専務…あぁ御村物産の…)」
別に聞こうと思ってないけど
向こうは俺がいるとは思ってないから
どんどん話を進めている
[金曜に合わせて、他のスケジュールも組みましたからね〜。今日は予定通り、直帰させますので。えぇ、後はそちらの方で…例の件…はい、よろしくお願いします]
「(なんの話をしてるんだか…)」
加賀谷次長が出ていって
2分ほどしてから、自分のディスクへ戻った
休憩の後、当たり障りなく仕事をこなして
上司に報告してから帰宅の準備をはじめた
「(長瀬班でよかった〜)」
俺の上司、長瀬次長は
どっかの次長さんとは違って優しいからな…
「じゃぁ、お先でーす」
ふと、入り口の予定表ボードに目をやると
咲坂の所に“直帰”と書いてある
「(咲坂のとこの次長さんが、直帰許すとか珍しいなぁ。)」
なんて思いながらエレベーターに乗り込んだ
会社を出て駅へ向かっていると…
ﾄｩﾙﾙﾙ…
ったく、誰だよ…
定時過ぎてから社用の携帯にかけてくんなよ…
《翔さん》
ディスプレイに目を移すと
珍しい名前が表示されてて
慌てて電話に出る
「お疲れ様です。どうした＿＿ 」
『二宮！ お前、今どこにいる！？』
「今、会社出たばっかですけど…なんかありました？」
『咲坂が危ない…ちょっとそこで待ってろ。今行くから』
待ってろ、と言われて電話は切れた
喫煙ルームでの会話の意味＊[N side]→←注がれたお酒、心地いい声
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2018年2月16日 23時
