その先へ～I'd like to approach～ (ページ31)

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“約束したじゃん” ページ31

「櫻井さん！お待たせして、すみません！」

ロビーで姿を見つけて小走りで駆け寄った

『急がなくていいって言ったのに(笑)じゃぁ、行こっか』

歩き出した櫻井さんの後を追いながら

「あの…この時間帯、混んでませんかね？私が出るの遅くなったから…」

『あぁ、それなら大丈夫だよ。席取ってもらってるから』

「予約して下さったんですか？」

『通いつめたら、店の人と仲良くなってさ(笑)昨日行った時に、お願いしといたんだ』

「…昨日と同じ所で良かったんですか？」

『この間の飲み会の時に、約束したじゃん。それに俺、オムライス好きだし』

覚えててくれたんだ…

Aちゃん、さっきから質問しすぎだよ

って笑われているうちに、すぐにお店に着いた

『ここだよ。どうぞ』

俺の家じゃないけど

なんて言いながら
ドアを開けて席までエスコートしてくれた

『俺のオススメはね～いっぱいあるんだけど、まずは自分が食べたいのを食べて欲しいからな…好きなの選びな』

メニューを取って私に見やすいように開いて見せてくれる

「櫻井さんは、決まってるんですか？」

『実は昨日から決めてるんだよね(笑)これ！』

目をキラキラさせながら
“貝柱とエビのクリームソース”をゆびさす

「昨日は何を食べたんですか？(笑)」

『昨日はこれ！』

次にゆびさしたのは
“ホタテと鶏肉のチーズトマトソース”

どっちも貝系が入ってる…貝、好きなのかな？

「私、櫻井さんが昨日食べたオムライスにします」

『おっ！これマジでウマイよ！すみません、これとこれお願いします』

店員さんにオーダーを通した後

ちょっとごめんね。

と断りを入れてから目の前で
社用のスマホで誰かに連絡を取りはじめた

『よし、これでOK！』

「あの、櫻井さん。貝…好きなんですか？」

『えっ、どうして？』

「今日と昨日のメニュー、どっちも貝系だったので(笑)」

『貝ね、超好き！貝ならなんでも好き！でさ、ここオムライス専門なんだけど、貝が入ってるメニューがいっぱいあんの。珍しくない？』

すごく興奮して力説してる櫻井さんが
可笑しく笑っていると

♪チロチロリン

私のプライベート用のスマホがメッセージ受信を知らせる…

「(後からでいっか。せっかく櫻井さんとランチに来てるんだし…)」

『確認しなくていいの？急ぎだといけないから、確認しなよ』

「じゃぁ、確認だけ…」

と断りを入れて取り出すと

櫻井さんがニコッと微笑んだ