32 mm ページ32
▶side: mm
寝起きドッキリを受けた後は、二度寝する気になれなかった。
同じ部屋のふっかさんと照くんは打ち合わせで出て行っちゃって、俺は部屋に一人。
まだ集合までにも時間があるしと、ラウールにメールを送ってみるけど反応はない。
まあ時間ぎりぎりまで寝てるだろうし、それは全然いいんだけど、熱がどれくらいあるかは聞いておきたい。
部屋のメンバー＿＿翔太くんと佐久間くんは2度寝してるだろうけど。
しばらくの間そんなことをしていれば、さすがに手持ちぶさたになって。
確かロビーに自動販売機あったよな。
思い出して、お茶でも買いに行こうと部屋を出た。
俺らの部屋は他の2部屋と少し離れたところにあって、ロビーから部屋への廊下も違う。
だから、角を曲がったときに見えた小柄な身体に、見間違いかと目を見開いた。
壁に手をつくようにしてしゃがんで、大きく肩を上下させているその人は。
目「＿＿っ佐久間くん？！大丈夫ですか、っ」
佐久間くんの呼吸は明らかに早くて異常だ。
過呼吸を落ち着かせようと触れた背中は、想像よりはるかに熱くて愕然とする。
にわかには信じられない気持ちで目の前の佐久間くんを見つめた。
佐「……っべちゃ、？」
まだ荒い呼吸のすきまから、阿部くんの名を口にする佐久間くん。
目「違うよ佐久間くん。
めめだよ」
俯いた佐久間くんの足下にぽたりぽたりと水滴が落ちる。
……泣いてる、と気づくのに、そう時間はかからなかった。
佐久間くんの涙を見たのは初めてじゃない。
ゲストとして呼んでいただいた番組で思い通りの結果が残せなくて、2人して焼き肉屋で泣いたこともある。
だけど、いつだってその涙は「悔しい」という思いからくるもので、こんなにつらそうな佐久間くんの涙を見たのは初めてだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1588人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九花(プロフ) - れなさん» うれしいです、ありがとうございます！続きも楽しんでいただけるように頑張りますね！ (2020年11月18日 19時) (
レス) id: b71fcc7439 (このIDを非表示/違反報告)
九花(プロフ) - 葉月さん» うれしいコメントありがとうございます。執筆速度は遅いですが、今後も期待に応えられるよう頑張りますので応援よろしくお願いします！ (2020年11月18日 19時) (レス) id: b71fcc7439 (このIDを非表示/違反報告)
れな - えええもうお気に入りです！！ (2020年11月17日 21時) (レス) id: fb5eeefa96 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 前から読ましていただいています。いつも更新が待ち遠しくて、更新されると飛んできてしまいます！これからも更新頑張ってください！ (2020年11月17日 19時) (レス) id: 5fa35a3299 (このIDを非表示/違反報告)
九花(プロフ) - バナナさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけているようでとてもうれしいです。今後も頑張りますので、よろしくお願いします！ (2020年11月16日 19時) (レス) id: b71fcc7439 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九花
| 作成日時：2020年11月1日 17時
