そばにいてね。【2】 (ページ10)

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もう家を出た時の肌寒さは感じなかった。反対に、今は少しだけポカポカしてる。体温が上がってきてるんだな、と思うと同時にいつもより少し早い時間帯から体温が上がり始めて少し焦る。

今日は全員一緒の広い楽屋。めめと一緒に楽屋入りすれば、既に何人かは来ていた。

荷物を置いて、ひとまず呼ばれるまでじっとしていようと椅子に座る。はしゃぎたい気持ちはあるけれど熱が上がるのが怖くて、イヤホンを両耳につけて違う世界に飛ぶことしかできない。

音楽を聴きながら目を瞑れば、体の熱さも少しは忘れられる気がして。そのまま何分経ったかはわからないけど、肩を軽く叩かれて片耳のイヤホンを外す。

「次、ラウだよ。メイクと着替え」

「ありがと！」

既にメイクも着替えも終えた阿部ちゃんが声を掛けてくれた。いってきます、と楽屋を出てメイク室に入る。
メイクさんに顔が赤い気がする、なんて言われてしまって、いつもは塗らない赤みを抑えるパウダーを塗ってもらった。それと、いつも入れているチークはなしで。「無理しないでくださいね」っていう気遣いの言葉には曖昧に笑って返すことしかできなかった。

収録中、体の熱さに加えて、照明の熱と重ね着の衣装のせいでとにかく暑くて仕方がなかった。汗も止まらなくてメイクも崩れてしまう。休憩入る度にメイクさんがメイク直しに来てくれるのが申し訳なく感じた。

体を動かす系の収録だったから、汗を沢山かいていても特に怪しまれるようなことがなかったのは救いだと思う。

収録が進む度、体の熱さは変わらないまま、倦怠感だけが酷くなっていく。いつもなら絶対に思わないけれど、今日ばかりは早く収録が終わることを願わずにはいられなかった。

「今日の収録以上となります、お疲れ様でした！」

収録が終わり、次々と他のタレントさんがスタジオを出ていく。それについて行くようにスタジオを出て楽屋への道のりを進む。