そばにいてね。【2】 (ページ11)

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やっと終わった。

いつもならあっという間に感じる収録が今日は物凄く長く感じた。思わず溢れた溜息は重たくて熱い。微熱、というか、普通に熱が出ててもおかしくなさそう。

衣装から私服に着替えて荷物を纏めればもう帰れるのに。何かをする気力がなくなってしまって、ソファに腰を下ろす。ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ、休憩しようと思って。
不思議そうに帰らないのか聞いてくるメンバーには疲れたからちょっと休憩したら帰ると伝えれば、特に深く聞くわけでもなくそのまま帰ってくれた。

変に心配を掛けるのも嫌だし、それでいい。そもそも体調が万全じゃないことなんて言ってないんだし。何も触れてくれないのは有難い反面、寂しくもあって。バレたくないけど気づいて欲しいなんて、面倒臭い自分が嫌になる。

「……ラウ？」

「ちょっと休んだら帰るよ」

「さすが、次の質問バレちゃってた？」

1歩先の質問を見越して答えれば、阿部ちゃんは優しくて柔らかい表情を崩さないままこっちに来る。

「隣いい？」

「うん」

今日は疲れたね、なんて他愛もない話のキャッチボールがはじまる。収録中は口を開くのも億劫だったけど、不思議と阿部ちゃんと話をするのはあまり疲れない気がする。メンバー同士で気を張ってないからなのか、阿部ちゃん特有の雰囲気のおかげなのかはわからない。