そばにいてね。【2】 (ページ2)

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佐久間side

起きた瞬間から熱っぽさを感じて、熱を計ってしまったのが間違いだった。

1人の仕事。頼れるメンバーは周りにいない状況で、俺は朝見た数値を意識的に忘れて、雑誌の撮影に挑んだ。

照明のせいであつくて堪らないはずなのに、長袖の衣装の下では鳥肌が立つくらい寒くて。撮影が終わってなんとか楽屋まで戻れたはいいけれど、扉を開けてソファに辿り着く前に力尽きてしまった。

どうしよう、歩けないかも。誰かに連絡しようにもスマホは少し離れたカバンの中。今動ける気はしないし、って熱があっても思考だけは冷静で。でも考えるのすら疲れちゃってこのまま寝ちゃおうかな、と思ったときに扉が開く音が聞こえた。

それに続くようにパタパタ、足音がする。首を動かす元気もなくて俯いたままでいると、耳元から聞き慣れた声がした。

「さっくん、聞こえる？どうした？」

優しくて心配そうな最年長の声。ゆっくり顔をあげれば目が合って、これまたほとんど毎日会う見慣れた顔に安心して。

気づけば俺の分の荷物まで持ってくれていて、タクシーに乗せられていた。心地よい揺れにつられるように目を瞑れば、肩をゆすられるような感覚で目が開いた。

「さっくん、着いたよ。あとで家の鍵どこにあるか教えて？」

歩けるよって言いたいところだけど無理そうだから、素直にそのままおぶられることにした。