27-*誰だその男 ページ27
.
適当に自転車を正門前に止めて、荷台に腰掛ける様に寄りかかる。
高校に用事なんざ久々だなァ。
まあ毎日あのクソガキを追いかけてここまで来るってのは抜きにして。
勤務中だから携帯を触るのも躊躇われるし、行き場のない手は結局腕組みで収拾がついた。
「……あっれー! 実弥じゃん!」
「あァ?」
「いや怖ッ! それでもポリなのー?」
下校が続く中、何人かの女子高生が俺に駆け寄ってきた。
知らねェ顔だからと女子相手に思わず睨んじまった。
どいつもどこかで見た事がある顔だ。
「覚えてない? ウチらAの友達だよー」
「この間飲みの絡み助けてくれてありがとー!」
「あァ、お前ら…あん時の」
制服だとこうもさっぱりすんのか。
この間とは打って変わって年相応の雰囲気に、女の七変化を見た気分だ。
「実弥、ここで何してんの? サボり?」
「違ェわ阿保、パトロール中だァ」
「えー絶対嘘じゃん! 実弥ヤンキーだもんね」
年下のくせに会話の勢いが凄い。
質問に答えただけで10は返ってくる。
というかそれよりも、あの時の顔は全員揃っているのに、肝心のAだけが居ねェ。
「なァ、Aは?」
「Aはまだ教室ー。もう来ると思うけど」
「ていうか実弥、Aの事振ったんでしょ?」
「はァ?」
「思わせぶりな態度取らないでくんない? A傷付けたらマジ許さないから」
とりわけスカートの短ェ女子高生が俺を指差して眉を顰める。
そういや、1週間前に冷たく突き放したんだったな。
そりゃ昨日の出来事なんだからAも友達には言わねェか。
「あのな、俺は…」
「ていうか、今はAは取り込み中だから!」
「そうそう、炭彦君とのイチャイチャ邪魔しちゃ駄目だよ〜」
「…………あ?」
俺の言葉を遮り喋った女子高生の言葉に、自分でも驚く程地を這う様な低音が喉から轟いた。
誰だその男。ていうかどういう事だ。
取り込み中、って、二人で何してやがる。
「ま、そういう事だから!」
「ウチらは忠告したかんねー! でも三角関係とかは気になるからまた報告よろしく!」
「オイ、お前ら」
逃げる様に駅へ走って行った女子高生達。
心の片隅で発生した小さな苛立ちを覚えた事に俺は益々苛立った。
「…!」
その時、正門の奥に一瞬見えたA。
心底楽しそうに笑う彼奴の隣には、俺の頭痛の根源であるクソガキが居た。
.
640人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時