18-緊張は和らいで ページ18
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_お風呂からそっと出てすぐ、脱衣場の洗濯機の上に服が一式用意されているのが確認できた。
黒Tに短パン。それから、一番下に潜り込んでいた新品の黒無地の下着。
封も開けられていないので、わざわざコンビニまで走ってくれたんだろうか。
私のために。申し訳なさが勝つ。
恥ずかしくなかったのかな。それとも大人だから慣れてるのかな。
「不死川……お兄さぁん…」
少し大きなTシャツと短パンを履いて、控えめにその名を呼ぶ。
返事は返ってこなかったが代わりに廊下の先の部屋の電気が点っていた。
多分あそこはリビングだろう。
待っているより出た事を伝えた方が良いよね。
「あの……ありがとう」
気配を消していたわけではないけれど、私が声を掛けるとわざとらしく彼の肩が大きく跳ねた。
驚いた目で振り返ったお兄さん。
私服に着替えていた彼は大きめのカーディガンを着ていた。
……っぐ、強面の萌え袖は恐ろしく破壊力が高い…!
「……ッおォ、体は暖まったかィ」
「うん、…服も、用意してくれて……」
何となく歯切れが悪くなってしまう。
それもそうだ。振られた相手なんだし。
あちらもどこか気まずそう。
でも、私の服はさっき見た通り洗濯機の中でブンブン回っていた。
「………何か、飲むかァ?
洗濯終わるまでここでゆっくりしてろォ」
「えっ、と」
「見ての通り何もねェが」
テーブルに置かれたココアの缶。
ほんのりぬくもりが残っていて、さっきコンビニに行ったついでに買ってきてくれたんだろうか、なんて考えると、物凄く笑いがこみ上げてきた。
「…ふ、あはは…っ」
「っ、ココア、好きか」
ココアより、コーヒーの方が好きなんだよね。
甘いものはどちらかというと苦手で。
好みじゃない、この人からのプレゼントが嬉しいのは。
「うん、好き」
「そうか」なんて、安心したような顔。
ツンツンにセットした銀髪が少し垂れた。
大型犬みたいで、可愛い。
あれだけ張っていた緊張感は少し和らいで、私は彼の部屋を見まわせるほど気が緩んでいた。
THE・男の人って感じの部屋。
シンプルなウッド調の家具たちで囲まれた広い部屋。
広い1Kの部屋には一切無駄なものが置かれていない。
彼女との写真の一つでも飾られているかと思ったけど、それらしきものは一切見当たらなかった。
「キョロキョロすんな。恥ずい」
「いたっ」
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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時