17-*下らねェ感情 ページ17
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一体あいつは何なんだ。
いきなり俺の前に現れたかと思えば行く所行く所次々と登場しやがって。
最初はただ放っとけない奴だと思った。
いつもなら見て見ぬふりする学生を、理由をつけて家の近くまで送った。
また、……会えたら…
俺にビビってた癖に、誰にも言われた事ねェ言葉をかけられた。
それがどうしようもなく可愛い奴だと思った。
…恋愛の感情なんかじゃなかった。
良くある、可愛い年下を可愛がる気持ちに似ていた。
「……ガキが、一丁前に」
1週間前の、あいつから贈られた2文字が頭にこびりついて離れねェ。
何が好きだ、恋愛だ。んな下らねェモンに頭を悩まされている時間が無駄すぎる。
…………俺みたいな、死の前線に近い人間が誰かを想ったって相手を幸せになんざできねェ。
ていうかそもそもあいつは年下だろうが。未成年でまだ学生で、俺の5個も下だ。
あんなお子ちゃま、俺が好きになる訳がねェ。
「……音がしねェな」
さっき軽く体を拭いた時わずかにあいつの体温が高かった気がする。
まさか倒れてたりしねェよな。
……この1週間、公園で俺を待ってたんだから風邪の一つでも引いてやしねェか。
あいつが公園でずっと俺を待っていたのは知っていた。
けど、合わせる顔なんざ無かった。
あんな風に突き放しても、何で俺を待つのか、俺に会いてェのか甚だ疑問だ。
俺も俺だ。
興味がねェならあのまま放っとけば良かったんだ。
最低な男に成り切れば良かったのに、俺は。
あいつの小せェ背中を放っとくなんて出来なかった。
「…どうなってんだ、俺は」
気付けばあいつに傘を差し出してて、誰も入れた事ない家に上がらせて、風呂まで沸かして、濡れた服洗濯して……。
こんな雨の中、コンビニまで替えの女物の下着を買いに走って、ついでに女が好きそうなココアまで買った。
大して汚くもねェ部屋の掃除をしたり芳香剤を振ったり、浴室のあいつを意識しまくってる自分に反吐が出る。
「しっかりしろ……相手は年下だぞ」
万が一間違いでも起こっちゃならねェ。
大丈夫だ。あいつは年下。クソガキ。尻の青い……。
ガチャ
「…っ、」
「あの……ありがとう」
音も無く風呂から上がってリビングにやってきた女子高生に反射的に肩が跳ねた。
俺の服に身を包んだ目の前のそいつが、妙に俺を変な気分にさせる。
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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時