11-提案に流されて ページ11
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「最近A勉強頑張ってんじゃん、何かあったの?」
「うん、ちょっとね!」
「何よ何よ、聞かせてみな!」
学校で仲良しの梅ちゃんが、教材と睨めっこしてた私の上に覆い被さってきた。
休み時間、まだ15分もある。
誰かに相談したいって気持ちもそろそろ抑えきれなくなってきたから、私ははやる気持ちを押し込むように何とかペンを置いて、梅ちゃんの方へ振り返った。
「…それで、何かきっかけでもあったの?」
「…梅ちゃん、あのね。私_……」
そわそわと心臓を誰かに擽られている気分だ。
いわゆる好きな人というのを誰かに話すのは初めてだし、恋愛相談をするのはこんなに照れくさいものだったなんて、初めて知った。
「誰だれ!?」と興奮気味に聞く梅ちゃんの耳にそっと私が「……この間の、」と実弥の話をすると、梅ちゃんは一点を見つめて固まった。
「…………ッはァ!? マジ! あのイケメンの!?」
「ちょっ、こ、声! おっきいって…!」
「やだ、ねえ、聞いた? Aの!好きな人、」
「梅ちゃんっ!」
興奮冷めやらぬ表情で、座った椅子を後ろに浮かして、仲の良い友達に今入った情報をいち早く共有する。
相変わらず梅ちゃんは口が早い。
彼女から仕入れた情報に、普通に話していた友達4人も一気に色めき立て盛り上がり始めた。
「ええ〜! めっちゃ良いじゃん、警官!」
「しかもイケメンだし惚れるよね〜」
「ていうかA、あの感じ脈ありっぽくね?」
「わかる、Aの事めっちゃ守ってくれてたし!」
5人がそれぞれ好き勝手喋るから何が何だかわからない。
ただ、聞き取れた言葉に、思わずぎょっとして同時に肩が跳ねた。
実弥が、私を守ってくれた、…なんて、そんな。
ないない、だって彼は警官で、あれは仕事で……。
「脈あり……なの?」
「ありよりのありでしょ!
だって頭ぽんぽんされたんでしょ?」
「慰めてくれるとかマジで気になってる子じゃないとないよ」
「……ええ、そうかな…」
友達にそんな事を言われて、お世辞だとは分かっていながらも、まんざらでも無い気持ちを心に浮かべていた。
すると一人が、「そうだ!」ガタッと机を揺らして前のめりに私を見遣る。
「告白してみれば!?
何か発展するかもよ!」
「……っこ、くはく…!?」
「脈ありなら絶対悪い返事じゃないから!」
勢いの良すぎる提案に、私は気づけば頷いてしまっていた…。
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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時