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09-彼だけに ページ9

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無理やりあげていた口角がひく、引きつった。
なんで気づくんだろう。





「俺は警官だからなァ。
市民の異変には気付くもんなんだよ」

「何それ……」

「落ち込んで紙飛行機なんざ飛ばしてっから、また俺みてェなのに捕まんだ」

「……それ、返して…」





どうせ気付かれたのなら、無理に笑う必要なんて無い。

ベンチに再び座り直して実弥の方に手を伸ばすと、少し考えた素振りを見せてから、何を思ったのか紙飛行機を広げ始める。


……駄目! それ、悪かった点数の…!





「…あァ? 54点! お前頭良いじゃねェか!
こんな家宝みてェな点数のテスト良く紙飛行機にできんなァ?」

「……っえ、それ、点数……悪かった、んだけど」

「これで悪いって言うのかよ、俺が高校の時はこんな良い点数取った事ねェぞ」

「……実弥…」





これって励ましてくれてるんだろうか。
……いや、単純に実弥が本当にこの点数に感動しているだけだ。

思わず同情の目を向けてしまう。





「そんでこんな所で一人で落ち込んでたのか」

「……帰ったら、ママに、…怒られちゃうし…」

「塾通ってるって言ってたよなァ
お前の母親って、あれか。教育ママって奴か」

「…………勉強なんて、したくない」





返されたテストの答案をくしゃりと両手で強く握る。
俯いていた私の頭に、冷えた手が乗っかった。

顔を上げると、その次には実弥は制服を少し着崩してベンチにどかっと座り込んで。

困惑する私を見上げるその視線は「話くらい聞いてやるよ」とでも言いたげだった。





「勉強は学生の本分だろォ
他に何かやりたい事でもあんのか」

「……うん。ある」

「へェ」

「男の人にこんな事言っても分かんないだろうけど……私、メイクのアーティストになりたいの」





実弥の隣に遠慮がちに座ると、風に運ばれて優しい香りがした。

私の視線は隣に向ける事なく自分の膝に落とされる。
彼は黙って私の話に耳を傾けてくれてる様子だった。





「パパが偉い人なの。ママも頭が良くて…だから、二人とも私を良い大学に入れたがってる。でも、私はそんな道じゃなくて…心から楽しいと思える事を学びたい
私のやりたい事を、誰にも縛られたくないの」





えらく熱く語ってしまった。
名前と職業しか知らないのに、実弥に私の心を知って欲しかった。


この人なら、何故か私の欲しい言葉をくれるような、そんな気がした。





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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時

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