屋上でのひととき (ページ5)

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席替えがある度には、隣の席、女の子！？なんて

いつも聞いてくるくらい嫉妬深い彼。

仕方なかったものの、他の男子と話す姿を

見せて少し申し訳ない気持ちになる。

『同じ日直の人。仕事代わりにやってくれるから

お礼言ってただけだよ、

変な心配かけてごめんね？』

「…別にいいけど、」

私が好きなのは、照くんだけだよ。

としっかり伝えれば、いつも許してくれる。

分かってくれてるみたいだけど、

好きって言って、なんて言ってくる彼も

歳上だけど、かわいらしい。

「…ちょっと、あっち行こ、」

『あっち？』

屋上の中の、

影になって誰にも見られない場所に移動する。

それだけでも、少しドキドキしてしまう

自分がいるのは、彼にはバレたくない。

見つからない場所に移動した途端に、

強く抱きしめられる。

『見つかっちゃう…かも、』

「見つかんない。いーの。」

充電するから、と私の背中に手を回して

抱きしめてくる。

「…めっちゃドキドキしてんね、」

『…っ、うるさぃ、』

私の早くなった心音が聞こえてしまったみたいで、

思わずたじろぐ。

抱きしめていた手を離して、

えへ、と嬉しそうに笑った。

「今日も、迎えに行くから」

『わかった、待ってるね』

「ん、教室戻ろっか」

何事も無かったかのようにケロッとした様子の彼。

それから、またあとでね、と階段で別れるまで

繋いでいた手は離してくれなかった。

こっちは、

翻弄されてドキドキしっぱなしだというのに。

(fin)