21歳と36歳の奥手な恋愛日記【中村悠一】

8.魅力的 ページ9

#6月1日(水)

「お？お前こんなの買うの？珍しいな。」


「あぁ…表紙が花澤さんだったからな。」


杉田の家に上がり早速目についたのはテーブルの上にある声優雑誌だった。


いつものようにソファーに座り、特に意味もなく雑誌のページをペラペラめくってみるとこれまた興味深い特集をみつけてしまった。


"『新人若手声優AAに迫る！』"


「引っ張りだこだな…ほんと…」


お目当てのそのページを探しながらそう小さく呟く。


これだけ凄い魅力があるなら一度は共演してみてぇな。


なんて思っていると、Aさんのアップの写真が一気に視界を覆った。


Aさんが熊のぬいぐるみを抱き締めている写真、Aさんがこちらに向かって『あーん』してくれている写真等々、どれもまぁとても可愛らしい。


「…ん〜…なるほどな、」


「その子、好きなの？」


「あ〜、いや、ちょっとな………って、あ！？いつからいたのお前！！！」


二人分のお茶をもって戻ってきた杉田がソファーの後ろから雑誌を覗き込んでいる。


何かやましいものを見ていたわけでもないのに何故か焦ってページを閉じてしまった。


「中村ってそういう子好みだっけ？もっとこう、ナイスボディな女性がタイプだと…。」



「あー！うるせーよ！とにかく早くゲームしようぜ！！」



考え込んだようにボソッと呟いた杉田を無理矢理ソファーに座らせ、何事も無かったようにゲームを起動した。

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