可哀想な妹と哀れな兄

第九話 ページ9

死んだ……？衣織が？


「オラよぉ！！」


ドンっ！と押され倒れる前に衣織を抱える
体が冷てぇ、息をしてない、ぬるりと血がつく


「衣織………衣織、…おい……」


揺すっても返事をしない。髪をかき分け顔を覗くと薄らと涙の跡がある


「傑作だったぜぇ！！“ 死にたくない、助けて左馬刻お兄ちゃん ”だってよぉ！！！こいつ、お前は絶対に来ないって言い切ってたぜ。本当に来なかったもんなぁ？！」


下品に笑う男を睨みつける
こいつが、こいつが衣織を殺したのか


「はっ！俺が殺したとか思ってんのか？！実質あの女を殺したはお前なんだよ！！！！碧棺左馬刻！！！」

「っ！」

「お前がこいつを手放したんだろ？言ってたぜ？“ たった今あの人に捨てられた。家族じゃないって、妹なんかじゃねえって言われた。私を傷つけてもあの人は来ない。” ってな？最初は強気だったくせに、いざ銃口を向けるとガキのように泣き喚いてたぜ？うるさかったから思わず殺しちまった！！！」

「てめぇ！！！」

「なに怒ってんだよ、お前だって望んでたんだろ？この女が居なくなればいいって。じゃなきゃあんなこと言わねぇ。電話だってすぐに出た筈だ！！」


俺が、俺がこいつを殺した？
俺の一言で衣織を絶望の淵に追いやったのか？


「役立たずな人質は要らねえ！俺とお前はその女を殺した人殺しなんだよ！！」


その言葉にプチンと何かが切れた音がした

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