第27夜 ページ27
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幻聴が聞こえるほど私は疲れているのだろうか。
でも、そうとしか思えない。
だって、志麻が、私のこと、知りたい、って。
私に興味を持ってくれたのだろうか、私に少しでも好意を抱いてくれたのだろうか。
志麻の本意は分からないけれど、そういったことを考える前に私は口を開いていた。
｢うん、うん！何でも教える、何が知りたい？｣
私の声は自分でも驚くほど明るくて、自分で引きそうになる。
まあ、しかたないよね。
志麻はもぐもぐとオムライスを咀嚼しながらんー、と考え込んでいる。
｢Aのこと、というか…………俺とお前のこと、やな。｣
本当に一体彼の身に何が起きたんだろう。
もしかしたら志麻も坂田さんに何か手出しされたんじゃないかと思うほどの変わりっぷりだが、こんなチャンス、逃したら二度とないかもしれない。
そう思ったらいてもたってもいられず、志麻が食べる様子を見ながら一つ一つ、話し始めた。
初めて出会った時のこと、付き合い始めた頃のこと、一緒に過ごした週末のこと、たまに喧嘩したこと、色んなところに2人で行ったこと。
それはもう数え切れないほどの思い出をつらつらと語っていく。
自分でもよく覚えてるななんて思うけど、きっとそれは志麻との思い出だからなのだろう。
きらきらと目を輝かせ、やや食い気味で話す私の話を志麻はちゃんと時々相づちを入れながら聞いてくれた。
他人事のようだけど、記憶を思い出していない以上仕方ない。
それに、少しでもこれで思い出してくれればいいのだけれど。
ひと段落ついたところで、休憩にしようとお茶を入れる。
志麻の分も作り目の前に置けば、じ、っと興味深い視線で見詰められた。
｢……なに？どした？｣
｢や、………こんなんやったんかなって、俺が人間の頃｣
一瞬フリーズしてしまう。
そういえば、そうだ。
よくお互いの部屋に行って、借りたDVDを見ながら飲み物これでいいー？なんて私がお菓子と一緒に持って行ったりしたりして。
その時とは場所も、環境も、なんなら志麻は人外になっちゃったけど。
あの時の日常を久々に体験したみたいで、なんだか心がじんわり暖かくなる。
｢…………うん、よく、こうしてた｣
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
