第16夜 ページ16
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今の言葉について尋ねようと口を開きかける、が、すぐに閉じた。
変な混乱を招いたら志麻にとってもよくないし、また昨日のようなことになったら私じゃ対処できない。
でも、今みたいな言葉が出る、ということは、志麻の記憶は完全に消された訳じゃないのかも、という希望が見いだせた。
｢とにかく、もうここには来るな、行ってもなんもならん｣
｢………うん、分かった｣
表面上で返事をする。
ごめん、志麻。
言葉から心配してくれてるのは伝わるけど、まだ分からないことがある以上放っておくわけにはいかない。
｢…………あれ、二人とも。まだここにいたんだ｣
うらたぬきさんが下から戻ってくる。
その姿は普段の姿と変わりはなく、いたって平然としている。
………そういえば、うらたぬきさんには言わなきゃいけないことがあったんだった。
｢うらたぬきさん、あの｣
｢ん、どした？｣
｢この、お守り……？坂田さんは加護、って呼んでたんですけど。ありがとうございます、助かってます｣
お辞儀をすれば、頭上からうらたぬきさんのあぁ、という声が聞こえてきた。
｢いいよ別に。ルールは守るべきものなんだけど……あいつら基本的に言う事聞かないから｣
まーしぃもね、と付け足され、志麻は気まずそうに視線を逸らす。
この加護が無かったら私は今、ここに立っていないだろう。
｢でも、ずっと効果があるわけじゃないからね？何度も何度も使ってれば守る力も弱くなる。だから、定期的に俺のとこきて、そしたらつけ直すから｣
うらたぬきさんの言うことを頭の片隅に留めておく。
魔法でも絶対はないんだな、と知識を得たところで、うらたぬきさんは不思議そうな目線を向けてきた。
｢……なんか顔についてます？｣
｢いや。……聞かないの、さっきのこと｣
｢気にならない、といったら嘘になります。分からないこともたくさんあります、…でも、なんか、｣
私は、なぜ豚や鳥の肉を食べるのかと聞かれても、それが生きる為の行為だからとしか答えられない。
それと同じように、この人達もそうなんだろう。
そう考えたら、問い詰めることができなかった。
｢…客に俺らの食事事情聞かせてなんになるん、ほら、行くで｣
志麻がそう言い、連れて行ったのはうらたぬきさん____ではなく、私。
先ほどと同じように手首を捕まれ、なんとか彼について行く。
_____何か、おかしい。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
