第15夜 ページ15
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｢食べられる、ってこと？｣
確認のため一応聞いてみる。
するとあちらこちらでこくこくと頷き、その中の一人が声を上げた。
｢そう、私たち、拐われて勝手に食料とか言われてずっとここに閉じ込められてるの、１日に何回かあいつらがやってきて、毎日、必ず誰かが連れていかれるの｣
想像したのか、泣き出す子まで出てくる。
私は未だにこの目の前の光景を飲み込む事ができずにいた。
｢ゾンビみたいなやつとキョンシーは肉を食べて、赤い髪で黒い服着てるやつと、いつもたぬき連れてるあいつは_____｣
｢____俺は、魂を食うってこと｣
先程入ってきた床の穴から声が聞こえる。
……この声は、うらたぬきさんだ。
軽い調子で降りてきて、私達を視界に入れれば不敵な笑みを浮かべる。
｢ここ出入り禁止にしたほうが良かったな、ま、それでも入るんだろうけど｣
｢うらたぬき、さん………｣
｢何、そんな目で見ないでくんない？俺はAさんと違って人間じゃないからさ｣
人だって食うよ、と冷たい口調で言われる。
先程話していた女の人達は余程うらたぬきさんに怯えているのか、誰一人として口を開く人はいなかった。
_____おかしい、これだけいるのなら誰か一人は反抗的な素振りを見せてもおかしくないのに。
不思議に感じた私の思考をかき消すように、もう一人やってくる。
｢……志麻｣
｢なんでお前ここにおんねん、あんま近寄んな言うたやろ｣
｢ごめん、でも、気になることがあって｣
志麻は1つため息をついた後、私の手首を握り入ってきた方向へと引き返す。
｢ごめんうらたさん、ちょっとこいつ戻してくるわ｣
｢別にいーよ、行ってらっしゃい｣
見送られながら、倉庫の中へと戻ってくる。
私の足が倉庫の床へとついた瞬間、志麻の手も離された。
｢なんでわざわざ一緒に戻ってきてくれたの？｣
｢……うらたさんの食い方、なかなかえげつないから。あんなん客に見せる訳にはいかんやろ｣
｢別になんとかなるけどなあ｣
｢なんとかならんから俺がこうやってきてんねん、ほんっま相変わらず、お前はマイペースやな｣
今聞こえた言葉で、今下で何が起きているのかを忘れそうになってしまった。
『相変わらず』？
出会ってまだ1日2日経ってない人に対して果たして相変わらず、なんて使うだろうか？
しかし志麻は記憶を取り戻したような素振りはない。
つまり、今のは、完全な無意識だ。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
