16個目 ページ16
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ご飯を食べてからも片付けとくから風呂入ってきて、と促され、
お風呂から上がっても髪の毛乾かしたるよ、と世話を焼かれ。
そして寝る寸前、私がベッドに入ってからもセンラはすぐ側のイスに座りながら見守ってきた。
「………さすがに、そこまでしなくても」
寝れるものもここまで視線を感じたら寝れない気がする。
それにセンラだって疲れてるはずなのに。
「自分で気付いてないかもしれへんけどさ、ここ最近のAなんかずーっと思い詰めてる顔してるからな?…まあ俺のせいでもあるんやけど」
「え、嘘」
「嘘やない、ずっと一緒にいたんやから分かりますー。……俺はどんなAも好きやけどさ、笑顔のAが1番好き」
だから少しでも疲れがとれるように甘やかすの。なんてセンラは言いながら体にかかった布団をとんとん、と一定のリズムで優しく叩く。
私以上に私のことを分かってるな、なんてセンラの観察力に感心してしまう。
それでも、されっぱなしというのは腑に落ちない。
いくら自分が未成年でも、世話をされる立場だとしても、私に出来ることくらいあるはずだ。
そんな私の不満をセンラは汲み取ったのか、1度手を止めた。
「……俺に甘やかされんの、いや?」
「嫌じゃないよ、でも、私だってセンラの手伝いくらいしたい」
「そう思ってくれるだけでも充分なんやけどなあ。………じゃあ、元気になったらAが俺のこと甘やかして」
そう言って私に向けてくる笑顔は、完全にからかっている時の表情だ。
振り回されるのも何だか嫌で、私は半分やけになりながらいいよ、と返す。
その瞬間、センラの瞳が僅かながら驚きで丸くなる__が、すぐにそれは驚きから嬉しさに変わり、目を細めた。
「楽しみにしときますわ、ほな、おやすみ」
センラはさも当然のように額に軽くキスをし、部屋を出ていく。
ここは外国じゃないんだから、と心の中で思うけれど、それがきっかけになったのか、それともセンラの声が心地よかったのか、すぐに眠気がやってくる。
今日は珍しく、ちゃんと寝れそう。
そんなことを考えながら、私の意識はすぐに沈んだ。
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瑠璃色(プロフ) - コメント失礼します!すごい甘くて溶けそうでした…楽しく読ませていただきました! (2020年1月22日 4時) (レス) id: c270fd437e (このIDを非表示/違反報告)
夏乃(プロフ) - コメント失礼致します! とてもドキドキしながら作品を読まさせて頂きました!メンバーそれぞれのお話もワクワクドキドキでした!お話の途中からまさか4人は裏で繋がっていたりして…!と予想したりしていて楽しかったです! (2018年10月5日 3時) (レス) id: 18d0eaa0c8 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - maikanoさん» コメントありがとうございます!各ルートはいつか形にしたいなとは思ってるので気長にお待ちください!maikanoさんが少しでもドキドキできるようなお話を届けられて良かったです、見ていただきありがとうございました! (2018年10月4日 0時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - 瀬菜(せな)さん» わーありがとうございます!何とか完結できて良かったです…!!新作公開しましたのでお時間ある時にでもよかったら除いてやってくださいー! (2018年10月4日 0時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
maikano - とても面白かったです!欲を言うと全ルートみたいですね…(全員から愛されるルートとか、うらたんルートとか…)読んでてすごくドキドキしてものすごくよかったです! (2018年10月3日 15時) (レス) id: f3f6e9dc4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:史緒 | 作成日時:2018年9月10日 22時