愛情過多【浦島坂田船】

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｢……やだなあ｣



学校も終わり、各々が部活だとか家に帰るだとかしている中、私はバイトに向かう真っ最中だ。
街からは少し離れた、小さなカフェで働かせてもらっている。
高校生の私でも雇ってくれて、お給料もなかなかよくて、店長さんも、他のスタッフさんも皆優しい。



好環境すぎるバイト先なのに、私は今日、バイトに行くことにあまり心が乗らなかった。
原因は分かっている。
避けようにも確か今日は彼もシフトが入っていたはずだ。


まあ、彼だけが原因じゃなくて、原因となる人は他にもいるわけだけど______



｢あ、偶然だね、Aちゃん｣



｢……絶対待ってたでしょ、浦田くん｣



ああ、会ってしまった。
目の前でにこにこと愛想のいい笑顔を浮かべているのが浦田 渉くん。
私が通っている高校とは別だけど、同じ高校2年生、バイト先で出会って、仲良くなった。



……そう、仲良くなるだけなら、良かった。



｢そりゃあ好きな人を待ちたくなるのは当然でしょ？｣



この通り、どうやら浦田くんは私のことを好き、らしい。
と言っても知り合った頃からこうって訳じゃなくて、このことを伝えられたのはつい昨日の話。


だからこそ私は唐突な告白に戸惑ったし、なんなら今も戸惑ってるし、できれば心の準備ができるまで会いたくなかった。



｢そのさらっと好きな人って言うの、なんか、やだ｣

｢ああ、言われ慣れてなくて恥ずかしいとか？相変わらずかわいいとこあるんだね｣


この通り、浦田くんは私の思ってることをすぐに言い当ててくる。
心を見透かされてるようで腹立つ反面、浦田くんにならいいか、なんて思ってる自分もいる。



だって、告白されるまでは、『本当に信頼しているバイト仲間』だったから。



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