2話 ページ3
おかしいな…なんでこんな時間に彼らが歩いているんだ？
創也達が塾に行ってるなんて聞いたことがない。
なんせ、あの二人はわが校始まって以来の天才といわれるやつらだ。
もし創也達が塾に行ってて、それが母さんの耳に入ったらと思うと、ゾッとする。
「創也君とAちゃんだって、頑張ってるのよ！あなたも、もっと頑張りなさい！」
っていって、塾のパンフレットを山のように集めてくるはずだから。
これ以上塾を増やされたら、ぼくの睡眠時間はなくなってしまう…
ぼくは、こっそり2人の後をつけた。
他に歩いている人がないから、見失う事はない。
心配なのは、2人が突然振り返って、ぼくが尾行してるのに気づく事。そうなったら、気まずいよね…
でも、2人はふりかえることなくヒョイヒョイと道を歩いて行く。
なんだか、とっても楽しそうだ。
後ろ姿だからわからないけど、きっといい笑顔で歩いてるんだろうな。
やがて、創也たちは通りを左に曲がった。
ペンケースが音をたてないようにバッグをおさえて、ぼくは走った。
創也たちと同じように、左に曲がる。
そして____。
ぼくは2.0の両目をゴシゴシこすった。国語で習った、「わが目を疑う」という状況だ。
創也達がいない…
消えてしまった…
街頭の黄色い光が、アスファルトをまるく照らしてるだけ。歩道は百メートルほどまっすぐつづいていて、その先は交差点。
信号機が黄色の目でウインクしている。
二人が左に曲がってから、ぼくがこの場所に来るまで、時間にしたら四秒くらい。
その間に二人が交差点まで走って姿を消したなんて、考えられない。
四秒で百メートルを走れたら、世界記録をかるくこえてしまうじゃないか。
ぼくはその場に立ちすくんで、創也が消えた謎を考えていた。
でも、どれだけ考えてもわからない。
創也は消えてしまった…
その時、黒塗りの大型乗用車が静かに走ってきて、ぼくの少し先でとまった。中から、黒い背広の若い男の人が出てくる。
長身の男の人は、車にもたれるようにして、マッチでタバコに火をつけた。
そして、立ちすくんでいるぼくに気づいて、
「どうかしたんですか？」
と声をかけてきた。
丁寧な言葉遣いに、口もとの笑み。
でも、目がちっとも笑ってない。
うすいくちびるのあいだから、チロリと犬歯が見えた。
絶対この人ヤバい人だ。
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すた(プロフ) - 円陣はずれさん» ありがとうございます！ (7月27日 22時) (
レス) id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 都会トムの話って少ないですよね...悲しいです。続き楽しみにしてますして！ (2023年2月25日 22時) (レス) id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すた x他1人 | 作成日時：2022年6月18日 23時
