ふぇいくかっぷる。《Ryohei.A》 (ページ20)

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男の人の運転してる姿って素敵だよなぁってつくづく思う。

少し血管の浮き出た腕。

女性とは違う骨張った手とかいちいち見てしまう。

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阿「…Aの家この辺？」

あ「うん。このまま信号を少し真っ直ぐ行って右に向かったマンション」

阿「えっ、ほんと？じゃあ割と俺と近いかも」

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信号が青から赤に変わった頃。

亮平が私を見つめて、優しく微笑んだ。

ほんっとにこの人は少し強引だったり、時折そうやって柔らかく笑ったり…

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本当にさ。

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あ「…本当の貴方はどっち…？」

阿「んっ？」

あ「な、何でもないっ！」

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窓に移り行く見慣れた景色。

そのまま直進し始めた車。

危ない…今回ばかりは信号が青に変わってくれてすっごく助かった。

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阿「…ねえ。なんかお腹空かない？」

あ「んーと、そう？」

阿「もう22時だよ？まだ夜ご飯なんも食べてないでしょ？」

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まあ、思い返せば会社でランチをした12時以降何も口にしていない。

確かにお腹は空いてるけど、でも…

今はこの状況に慣れないから早く帰りたいというのが本音で。

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あ「私は…」

そう口にした瞬間、ぐーっと鳴ってしまう私のお腹。

タイミング悪いなぁ…それは彼にも聞こえていたみたいで、小さくふふって笑った。

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阿「…やっぱり空いてんじゃん。笑」

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あ「そう、だね」

阿「じゃあ、俺のおすすめの店でいい？多分まだやってたと思うんだよね～…」

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目の前のナビに、行き先を指でタップしている彼。

その横顔はネオンのライトに照らされて、すっごく綺麗でかっこよかった。

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早く帰りたいのになぁ…

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そう思う反面、なんだか少しだけワクワクしてる自分も居て。

久しぶりの感覚に困惑する。

なんか自分で自分が分からなくなってる…？

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