因果応報 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:260,964 hit

-6- ページ6

緑Side

沈黙を破ったのはやっぱり、
最年長のふっかだった。

「何があったのかちゃんと教えてほしい。」

「「…」」

「俺が楽屋入った時、二人とも康二の名前呼んだよね？康二が楽屋から出て行った理由、少なからずどっちかにあるん…だよね？」

「…」

めめはただ静かに泣いていて、
きっと答えられそうにない。

そう思ったであろうふっかは俺の目を真っ直ぐ捉えた。

「ごめん阿部ちゃん。康二がこうなった以上、今のめめには聞けない。教えてくれない？何があったのか」

「…」

そりゃあ恋人が事故に遭ったんだ、
冷静でいられるはずがない。

でもそれは俺も同じで…

「…っ」

まともに喋れない…

「…浮気がバレたんです」

「は？」

何も喋れないでいると、振り絞るように出された苦しそうなめめの声が車内に届いた。

「…お前、康二のこと裏切ったのか？」

十年以上一緒にいる同期の、
初めて聞く低い声に身体が震えた…

「ごめんなさい…っ」

「ふざけんなお前っ…！」

「おいやめろふっか！気持ちは分かるけど車ん中で暴れんなっ！」

泣きながら謝るめめに掴み掛かるふっかを照が慌てて止める。

でもそんな照の目も怒りで震えていて、
冷静にふっかを止めることが出来ているのが不思議なくらいだった…。

「相手は誰だよ…。康二以外に少しでも揺れた相手は誰なんだよ。…許さねぇ」

「…言えません」

「あぁっ？」

ぶちギレているふっかに震えながら答えためめに苦しくなる…

守らなくて良いのに…。

俺なんかのこと…

「お前さ、いい加減にしろよ。…あぁそうか。生死さまよってる康二より浮気相手の方が大事か。なら良いよ。一生そうやって黙ってろよ!!」

「違うっ…！ちがっ…違う…」

翔太の叫びと必死に違う違うと何度も繰り返すめめ。

俺が悪いってちゃんと言いたいのに
怖くて、情けなくて…

こんなにもめめが責められているのに、
全ての原因である最低な俺は声を出すことが出来なかった…

・