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橙Side
悲しかった。
ただただ悲しい笑顔だった。
「阿部ちゃんのこと嫌いなんてセンス無いやん」
ラウールが俺に対して言ってくれた言葉だけど、
勝手に拝借して阿部ちゃんへと投げてみた。
「なぁ?佐久間くん」
「えっ…」
きっと皆もそう思うだろうと、
阿部ちゃんとシンメだったらしいし
仲も良いはずの佐久間くんに問い掛けてみた。
でも佐久間くんは何故か俺から目を逸らす…
え、何で…?
もしかして佐久間くんの彼女だった…とか…?
えぇどうしよう…
また余計なことを言ってしまったのかもしれない…
そう一人で焦っていると、
佐久間くんがいつもの笑顔をこっちに向けてくれた。
「そうだよね。センス無いよね…」
「うんっ!こんなに優しくて可愛くて甘やかしてくれる人そんなおらんで?おまけに頭も良いって最高やん!」
「そうだよね…」
「もうやめて康二…」
褒めているはずなのに、
褒められているはずの張本人は
何だかとても辛そうで…
目にたくさんの涙を溜めていた。
「えっ…どうしっ…」
「俺なんかのこと褒めないで…もっと…もっと貶してよ…お願い…康二…っ」
「なんっ…!そんなこと出来るわけないやん!記憶は無いけど阿部ちゃんが貶されるような人じゃないことくらい、過去の雑誌とかYouTubeとか観たら分かる!」
「なん…」
「阿部ちゃんに甘えてた自分を見たから分かる!大好きなメンバーやったって、ちゃんと分かる!だから、貶せなんて言わんで!!!」
つい、大声になってしまった。
でも、どうしても許せなかった。
記憶を無くす前、
俺のことをうんと甘やかしてくれていた
優しい阿部ちゃんがそんなことを言うのが。
どうしても許せなかったから…
「康二がっ…!康二が記憶を無くした原因なんだよっ!原因は俺なのっ!…俺なんだよっ!!!」
楽屋に響いたのは阿部ちゃんの、
喉が潰れそうなほどの叫び声。
「最低なことしたんだよ…っ…俺が…俺…めm…」
「…言うな。それ以上は言うな」
「でもっ…!」
涙でぐちゃぐちゃになりながら叫ぶ阿部ちゃんを、
照くんが止めた。
でも俺には何が起こっているのかよく分からない…
「原因は俺なんだよ、康二…」
「だから何なん…。そんなん関係ないやん!」
苦しそうに何度も繰り返す阿部ちゃんに俺はまた、
気が付いたら大声を出していた。
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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時