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黒Side


「…康二」

「えっ嘘…康二は何て?」

「謝られた」

「ん?」

「これから言うこと、めめとメンバーを裏切ることになるけど聞いてくれって」

「…」

「好きだって言われた。普通に。で、ごめんなって。俺に惚れられても困るよなって笑ってた」

「…で、めめは?」

「おれもすきだったからまぁ普通に…。」

「そっか…。康二は幸せ者だね。めめみたいなカッコよくて優しい人が恋人で」


そう言って俯いた阿部ちゃんの濡れたまつ毛が
やけに色っぽくて…


「…じゃあ、俺にする……?」


気が付いたら余計なことを呟いていた。


「……今日だけっ…今日だけだから…忘れさせて……っ」

「阿部ちゃんっ…」

「めめっ……」


これがイケナイコトだって、ちゃんと分っているのに…


お酒の入った頭ではまともな判断が出来ず、
阿部ちゃんの悲しい誘いに乗ってしまい、
ここがまだリビングだというのに床に押し倒してしまった

そして…


「あっ……めめっ…」

「あ、くっ、阿部ちゃんっ……!」


絶対に超えてはいけない一線を超えてしまった…。


「シャワーありがと…」

「うん…」

「片付けようか…」


リビングから場所を変え、最終的にはベッドで交わったせいで
ベッドの周りはぐちゃぐちゃで、シャワーを浴びた阿部ちゃんが
困った顔をしながらベッド周りに飾ってあった小物を拾い集める。


「あっ…」


阿部ちゃんが拾い上げた、
床に落ちて割れてしまったオレンジ色の写真立て。

その中に入っていた写真にはにこにこと笑いながら映る康二と、
そんな康二を見つめてカメラなんか見ていない俺がいる。

ラウールが隠し撮りしていたらしく、
すごく良い写真だから飾ってよって二人にくれたやつで。

康二の家のベッドにも同じ写真立てが飾られている。


「…写真立て、弁償するよ」

「いや…良いよ別に」



阿部ちゃんから貰った写真立てに、
何も知らない笑顔の康二の写真なんて飾れない…

無邪気に「お揃いで飾ろうなぁ〜!」って言って、
オレンジと黒の写真立てを買って来てくれて。

「俺がオレンジで、めめのは黒やで!」って言う康二を制して
「俺がオレンジで、康二が黒」って言って。


「康二の色が欲しいからこっちが良い」


そう我が儘を言ったくらい大事にしていたはずなのに、
馬鹿な俺を嘲笑うかのように粉々になってしまった…




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真夏野スピカ(プロフ) - なさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - ともぴーさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
真夏野スピカ(プロフ) - かおりさん» パス外しました! (2020年12月14日 0時) (レス) id: ee0c14e74e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 真夏野スピカさん» そうなんですね!更新楽しみにしてます。 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 67c533f73c (このIDを非表示/違反報告)
ともぴー(プロフ) - そうでしたか!更新楽しみに待ってます。 (2020年12月13日 19時) (レス) id: e72f97e6fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夏野スピカ | 作成日時:2020年11月10日 22時

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