３Ｂ × ＡＢ = ？【ab受け短編集】 (ページ7)

今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:113,327 hit

・ページ7

.

fk side

俺が時間をかけて考えた言葉は

「会いたい」

の一言

理由はたったひとつ、返事は直接伝えたかったから。

今頃阿部ちゃんパニックになってるんだろうななんて思いながら、ぱぱっと着替えて外に出た。

阿部ちゃんの声を聞きたくて電話をかける。

すぐにタクシーを捕まえて乗り込むと、コール音はもうなっておらず通話中の画面が表示されていた。

運転手さんに阿部ちゃんのマンションの住所を伝え、すぐに携帯に耳を当てる。

予想通り電話の中の愛しい人はしどろもどろになっていて、さっきまで焦っていた俺は逆に冷静になっていた。

早く会いたくて、早く好きだと伝えたくて、そしてこの長い片想いに終止符を告げられることが嬉しくて自然と笑みが溢れる。

「ねぇ、なんでわざわざ会いに来るの」

不安なのかそれとも本当に分かってないのか分からないが、多分パニックになって頭の処理ができていないのだろう。

こんな時だけは鈍感になる阿部ちゃんが可愛くて仕方がない。

「ずっと片想いだった相手に好きって言われたんだから会いに行くしかないでしょ。」

「……え、まって、いま」

「ごめん、もう着いた。じゃあ後でね！」

これで少しは自信がついてくれただろうか、
まだ何か言いたそうだったが、もうマンションの目の前に着いたので一方的に電話を切った。

俺も好きだよ。

待っててね阿部ちゃん。

タクシーから降りた時に運転手さんに「頑張ってね」と言われた

何だかその言葉に夢じゃないことを実感させられたような気がして「長年の恋叶えてきます」と力強く返事してしまった。

時刻は6時を過ぎていて太陽が登り空は明るくなってきている。

まるで、俺たちのことを応援しているかのように明るく光る太陽に背を向けマンションのインターホンに向かった。

end.

.