第八話 鬼殺隊�� ページ24
案の定、かなり時間がかかった。
炭治郎さん達と比べ物にならないほど。
彼らはあんまり理解できていないのだろうということが、これでハッキリした。
まあ、いいけど。
「ところでA。世界の歪みの治し方を知らないと言っていたが、どうするつもりなんだい？」
お館様の言葉に、確かにと頭を悩ませる。
色々あってまだそこまでの考えに至っていなかった。
アルセウスは結局何も伝えてくれないままだったから、情報がない。
「A。君が鬼を狩ることを手伝ってくれるなら、鬼殺隊も情報収集に協力しよう。」
バッとお館様を見ると、どうかな？と微笑んでいた。
鬼殺隊が情報を集めてくれれば、私ひとりでやるよりもきっといいだろう。
ありがたいことだが、鬼を狩ることを手伝うということは、ポケモンたちがケガをするということだ。
ここにはポケモンセンターはない。
ポシェットの中にある程度のものは揃っているが、不安すぎる。
「…ポケモンは私の家族なんです。彼らが危ない目にあうのは…。」
ピンクの髪の女の人に抱っこされてデレデレしているピカチュウを見る。
怖い。
アレと、鬼と戦うことが。
ポケモンバトルとは違う。
私もポケモンたちも、命がかかったバトルだ。
そんなの、わたしにできるわけがない。
ギリと強く歯を食いしばる。
どうするべきか、そう考えていたら突然ピカチュウが顔に張り付いた。
「っ、ちょ！」
はがそうとするが、ぎゅーっと力をいれるピカチュウ。
大丈夫。そう言っている気がした。
そして、炭治郎さんと禰豆子さんのぬくもりを思い出した。
彼らの手助けがしたい。
あの時の気持ちがあふれ出す。
「……やって、くれるの？」
私の問いかけに、ピカチュウはやっと顔から離れて、自分の胸をトンッとたたいた。
まったく、私の相棒はほんとに頼りになる。
覚悟の決まった私は、お館様へと向き直した。
「お手伝いします。ですから情報収集の件、お願いします。」
「本当にいいのかい？」
「パートナーがやる気だし。それに…。」
優しい、彼の笑顔が頭に浮かぶ。
その笑顔が少しでも長く見られるなら。
「笑っていてほしい人がいるので。」
私のその言葉に、お館様は嬉しそうに笑った。
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作者名：さりー | 作成日時：2020年7月10日 21時
