いつかの無垢を抱きしめる △ ページ23
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「ねぇ!これ捨てちゃっていいの?」
冷蔵庫をあさっていたはずの杉野くんが、視線を落として叫ぶ。
「これ、菅田さんにもらったって言ってたやつじゃん」
「記憶力こわあ」
「今も再現できるよ(笑)みてみてみてみてー!ジャジャーン!菅田さんにもらった菅田さんのパンツ!」
「そんなクルクル回ってた?(笑)」
「どんだけ回るんだよってくらい回ってたよ(笑)菅田さんのパンツ!ってセリフが絶妙に気持ち悪かったのもめちゃくちゃ覚えてる」
「でも新品だから大丈夫」
「それも言ってた(笑)まじ今思い返しても気持ちわりぃ」
「捨てたからもう言わないでよ」
「え、ほんといいの?」
「いいよ、いつまでも持ってても気持ち悪いでしょ」
「今更捨てるのもだいぶ気持ち悪いし変わんなくね」
「うるさいな(笑)」
マグカップ片手に、口をもぐもぐと動かしながら杉野くんがソファーに腰掛ける。
「何食べてんの?」
「生チョコ食っちゃった」
「最後の一個じゃなかった?」
「箱捨てといたよ、ちゃんと」
私の大事なものを簡単に食べてしまう杉野くんはケロッとした顔で、うまいね、と笑う。
「私のコーヒーも淹れてくれたらよかったのに」
「やだよ自分で淹れなよ」
「生チョコ食べたじゃん」
「テキトーに食べていいっつったじゃん」
「言った」
「言われた。」
ココアパウダーのついた指を舐めて、コーヒーを啜る。
「てか本当にいいの?あれ、捨てちゃって」
「うん」
「ふーん。全然潔くなさそう(笑)」
「グサグサするからやめてよー」
「だって俺が聞かされるじゃん、こんなことあってねって」
「んーん!菅田さんとの話なんてなんもないもん」
「へー。本当に終わりに向かってんだね」
「ほんとグッサグサくる」
「ああ、ごめんごめん」
そっかー、と呑気な杉野くんが、よかったじゃん、なんて言って少しだけ笑う。
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haco.(プロフ) - 08さん» ありがとうでやす! (2022年6月27日 10時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
08(プロフ) - まってやす (2022年6月26日 0時) (レス) @page45 id: efa12fa1f1 (このIDを非表示/違反報告)
rinrin(プロフ) - haco.さん» あと少しのこのお話もまたいつか始まる菅田さんの物語も楽しみにしています!いつも素敵なお話ありがとうございます😌 (2022年6月15日 23時) (レス) id: 73e4a2e97b (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ayakaさん» コメントありがとうございます☺️正直終われるのか?ってくらいに自分の中でまとまりのないストーリー展開になっておりまして(笑)終が2章にまたがるかもしれませんがもう少々お付き合い頂けますと嬉しいです☺️よろしくお願いします! (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - rinrinさん» rinrinさん!相も変わらず読んでいただけて嬉しいです。終わりに向かって徐々にお話も進んでいきますのでもう少々お付き合い頂けると嬉しいです☺️また菅田さんの後輩の物語書こうと思ってるので、その時も、是非ともよろしくお願いします。 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haco. | 作成日時:2022年5月16日 0時