■ ページ35
.
「翔ちゃん段々と俺に対して口の悪さ増してない？」
「知らねぇよ」
「俺センパイ！」
「だから何だっていうんだよ」
「もう〜だって仕方ないじゃん」
拗ねたような顔をして、ムスッと口を尖らせた大野。
ふにゃんとだらしなく笑うその顔よりも嫌いだ。
大野との距離の近さに顔を顰めれば、「俺のせいじゃないもん」と大野はまた拗ねた顔をして俺の肩にぽん、と手を置いた。
「じゃあ何だよ、二人でケーキバイキングって？は？…ったく、いい加減にしろ」
大野との誘いに同意するAもAだ。
俺は誘わず二人っきりでケーキバイキングに行ったという。
『大野先輩とケーキバイキング行って来た』とメッセージとスタンプ付き。
おまけにケーキの写真を送られてきたときは本気でキレそうになった。
「美味しかったよ〜」
「はあ？」
「ホントは他に行く人いたんだけど、風邪で来れなかったの！だからこれは不可抗力っていうの」
「ふざけんな」
「ホントだって！Aちゃんに訊いてみなよ？」
訊くも何もその必要はない。何故なら律儀にメッセージが添えてあったからだ。
『大野先輩とは何にもないからね、ただケーキ食べただけ。他の人も来る予定だったけど来れなくなったの』と。
…はあ、分かってない。こいつは分かってない。
多分、Aは俺に黙っているのは忍びないから、わざわざ報告してきたんだろう。
それが逆効果なことに気付いてねぇよアイツは。
何なら隠し通してくれた方が俺には好都合だった。
いや、隠されても苛立つ。どっちにしろ腹が立つ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃紀
| 作成日時：2018年2月25日 15時
