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俯けていた顔を上げれば副編集長と目が合う。
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…だけど、彼は何にも言わない。
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あ 「あのー…」
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色々と言いたいことはあったけど、一言目に出たのはそんな言葉で。
副編集長相手にこうやって
彼の反応を伺っている私もなんだか可笑しいと思う。
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なんか言ってくれても良いじゃん、
着せ替え人形じゃないのに、この店に連れて来られては、好き勝手高価なもの着せられヘアメイクも施されたんだから。
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慣れない露出に身体はスースーして肌寒いし、
歩きにくいのだって我慢してるのに。
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「いかがでしょうか。渡辺様のご依頼の通り上品に見せるように仕上げさせて頂きました。」
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全身を撫で回すかのように見つめる副編集長の視線がとても気恥ずかしかった。
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ようやく口を開いたと思ったら、
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渡 「…ん。まぁ、良いんじゃない。」
あ 「ま、まぁ?」
渡 「これで。領収書もつけといて。」
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かしこまりました。店員さんが言う。
さっと椅子から立ち上がった彼は私を褒めることもなく、
慣れたように店員さんにクレジットカードをつきだした。
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ま、まぁって…、え、それだけ?
私、それなりの勇気を出してこの身なりをしているのですが、
感想くらいあっても良いのではないでしょうか。
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渡 「…何突っ立ってんだよ。行くぞ、昭和女。」
あ 「しょ、昭和女、」
渡 「パーティーに遅れんだろ。」
あ 「は、はい…、」
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褒めるどうこうよりも、ついには私に新しいあだ名が生まれてしまった。
そのあだ名とは《昭和女》。
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あ 「…っ、」
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リムジンに乗り込んだ後も、副編集長は涼しい顔をして腕時計の時間を気にするだけで、私にはさらさら興味がないようで。
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最初から、分かっていたはずだったけど、
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もう二度とここまでのお洒落をすることはないだろうから、
後で記念に自撮りでもして妹に送ってやろうと思った。
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abemayu(プロフ) - Twitterも楽しませていただいています♪アカウントが凍結したとのことで私もとてもショックです(TT)ですがサブ垢の方でお話続けていただけるとのことでこれからも楽しみに読ませて頂きます(^^)占ツクもTwitterも全て最高の作品ばかりです!これからも頑張ってください♪ (2023年2月7日 5時) (レス) @page8 id: 64dc9f524a (このIDを非表示/違反報告)
yunopanman(プロフ) - 移行お疲れ様です!真逆な2人が今後どうなっていくか、毎回ワクワクしながら読んでます!更新頑張って下さい(人 •͈ᴗ•͈) (2022年11月20日 15時) (レス) @page4 id: 75411d4617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろーばー。 | 作成日時:2022年11月20日 15時