もっとちょこっと (ページ3)

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「わ、やっべ、めっちゃアガる！」

着いた瞬間バタバタと車を降りては嬉しそうに一目散に海の方へと駆けて行く。

いつもそうだった、

どれだけ男らしく此方側がエスコートしたくてもふわふわと離れていく。

まるで赤ちゃんみたいに思うがままの北山の行動は俺には掴めなかった。

そんな所が、好きだった。

懐かしい感覚につい口角があがる。

すっかり遠くに行ってしまった北山の背を追いかけると気持ちよさそうに海に足を浸からせている。

「藤ヶ谷も来いよー！」

「えー…」

「いーから、来い！な？」

「わっ、ちょっと！まだ靴脱いでな…」

グイッと引っ張られ、靴も靴下もそのまま海に入ってしまう。

「あーっ！もう、どうすんの！」

「ふははっ、乾かせばー？」

「また適当な事言ってる…」

強引な所もガサツな所も変わってない。

本当にあの頃と同じままだ。

「久々外出るときもちーな。」

「そうだね、気持ちいい。」

「来てよかっただろ？」

ドヤ顔で言う北山を見て思い出した。

そう言えば昔もこうやって来たことあったっけ。

あの時は計画したの俺だったのに

まるで自分が連れて来てやったぞ顔でドヤってたなぁ…笑

やけに懐かしい気分になるのはきっとそのせいだ。

その時は写真も沢山撮ったし、お互いを想う気持ちは永遠だと思ってた。

そんな事なかったし、写真だってもう消して無い。

すっかり変わったね、俺ら。