。゜+゜。〇-Episode1:運命の出会い-〇。゜+゜。 ページ15
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そして1時間後、和田は帰り支度をする
付き人が車を用意する間、再び雅彦と談笑していた
和田「本日はありがとうございました」
雅彦「いえいえ。お父様にもよろしくお伝えしてください」
和田「はい。今度は、雅彦さんの息子さんにもお会いしたいです」
雅彦「あぁ、都合が合えばぜひ。先日、婚約者と正式に話を進めたばかりでね…」
和田「いいですね。俺には婚約者はいないので、羨ましいです」
雅彦「優希くん、婚約者が決まってないのか?」
和田「はい…。いろいろ縁談のお話はいただいてますよ。ただ、あまり相性が合わなくて…断ってばかりなんです」
雅彦「そうなんだね。もったいないなー…。優希くんは、とてもカッコいいんだから」
和田「恐縮です…」
応接間に、和田の付き人の男性が入ってくる
浩大「車の用意、出来たぞ」
和田「分かった。それでは、本日は失礼いたします」
雅彦「あぁ。また、ぜひいらしてください」
和田「はい。では、失礼いたします」
応接間を出て玄関に行くと、桜庭と沙耶が待機していた
和田「…」
桜庭「和田様、本日はありがとうございました」
沙耶「お気をつけて、お帰りくださいませ」
和田「あぁ。ご丁寧にどうも」
和田は靴を履き、荷物を持つ
和田「…君が淹れてくれたお茶、美味しかったよ」
沙耶「え…?」
和田「それじゃあ」
沙耶に向かって優しく微笑むと、近衛家を出て車に乗り込む
沙耶は突然の褒め言葉に、驚きで何も返す言葉が出なかった
桜庭「…良かったじゃないですか。和田様に気に入ってもらえたのかもしれないですね」
沙耶「そうなんですか…?」
桜庭「あくまで噂ですが、和田様は女性に興味が無いのでは…と。それなのに、沙耶さんを褒めるとは…。気に入っていただけたのだと思いますよ」
沙耶「…」
褒めてもらえたということが実感できない沙耶
でも、何となく嬉しい気持ちもあった
桜庭「さて、沙耶さんの本日の大きな仕事は終わりです。夕食の支度まで、ゆっくり休んでいいですよ」
沙耶「あ、はい…!」
***
車内
和田「…」
後部座席で、窓際に頬杖をつきながらぼんやりと外を眺めている
和田は、沙耶のことを思い出していた
新人が故に慣れない手つきだが、器用にお茶を淹れる姿勢
その細かな動きに見える、気品の良さ
絶世の美女…というわけではないが、素朴ながらも美しい雰囲気を纏った沙耶を、和田は忘れられなかったようだ
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作者名:あきか | 作成日時:2022年9月30日 21時