恋と君を知った季節

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「ただいまぁ〜、…って、なんか2人目赤くない？」





タイミングよく帰ってきた2人。

藤ヶ谷が驚いたように俺と玉を見てる。

その隣で何か察したように宮田が微笑んだ。







でもこれは俺と玉だけの秘密。



やっと認めたこの気持ち。

まだ伝えることは出来ないし、伝えれるかなんて分からない。


もしかしたら一生伝えることはないかもしれない。





それでも、この気持ちを認めてあげることによってとても心は軽くなった。


それだけで俺にとっては大きな進歩。








玉が元の場所に戻ると藤ヶ谷が再び隣に座った。

さっきまで隣にいるのが苦しいだけだったのに、今は少しだけそれが緩和された。






「北山…？大丈夫？」



若干涙目で充血した俺の目に心配したのか

こっそりと話しかけてくる藤ヶ谷。




そんな優しさにさえどきりと胸は高鳴る。




こうやって人のちょっとした変化に気づけて気を遣える所はやっぱり藤ヶ谷らしい。









頼んでないのにそうやって優しくしてくる藤ヶ谷はやっぱりいじわるだ。





近くにいたくなる

もっと傍にいきたくなる。



きっとそれは季節のせいだ。


冬だから。

俺は寒がりだから。




うん、きっとそうだ。



自分に言い聞かせて、慣れた作り笑顔を藤ヶ谷に見せてやる。






「おう、大丈夫。」


俺の表情を見て本当に大丈夫…？ともう1度問い、うんと頷くと藤ヶ谷は俺にお酒を手渡してきた。




「なら良かった、呑む？」


「呑む！！」



元気よく返事した俺にふふ…っと藤ヶ谷は微笑んだ。




…藤ヶ谷が、笑ってる。




藤ヶ谷の笑顔を見たらなんだか、凄く嬉しくなって、泣きそうなくらい嬉しくなった。






いつの間にか俺と藤ヶ谷の間に流れる空気は元に戻ってた。


それに気分が良くなった俺はグビグビとお酒を呑みまくった。



久しぶりに呑んだ酒はとても美味しく感じて…

藤ヶ谷と呑むお酒は特別美味しかった。





だからか、いつもよりも早いスピードで呑んでしまった。

そのおかげで頭がふわふわする…








「ちょっと、北山のみすぎじゃない？」


「んふふ、ふじがやぁ〜」


「はーい(笑)ほら、水飲みな？」


「んーやだぁ！…あ、といれ〜」


「自由だな(笑)いってらっしゃい。」






気をつけてねって言う藤ヶ谷はやっぱり優しいなぁ〜って実感。


あ〜、なんかすっげえたのしい。



なんて、浮かれた頭とふわふわとした足取りで俺はトイレに向かった。

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