好き、とは。

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「ねえ、北山…」


「ん？」


「…北山本当にわたのこと好きなの？」


「えっ、…好き、に決まってんじゃん。」





いきなりの鋭い質問に身体がビクッと跳ねる。




もしかして…俺の気持ちわかってる？








「本当？じゃあなんで俺が絆創膏の位置知ってるんだろうって不思議じゃないの？」







俺も知らないようなことを藤ヶ谷が知ってる。


ってことは…よく、家に遊びに来てるってこと？

でもそれがどうしたんだろう。






「俺、北山がいない時よく遊びに来てるんだよ。それに、わたから合鍵も貰ってる。」


「へえ…そうなんだ。」


「嫉妬とかしないの？」


「別にしない。」





何かおかしいの？

確かに合鍵まで貰ってるんだってびっくりしたけど…。

だからオートロック入れたんだって納得。







「だって2人仲良いだろ？だったらおかしくないじゃん。」


「はあ…。普通こういう時、浮気でもしてるんじゃないかって不安になるもんじゃねーの…？」


「浮気…？……ふはっ(笑)」


「何笑ってんの？」


「だって…(笑)」





横尾さんが浮気なんてする訳ないじゃん。

あんなに真面目で、一途なのに。

有り得なすぎて笑える(笑)






でも、俺以外に好きな人が出来たって言うなら…俺は横尾さんから離れるよ。


別に俺が横尾さんの傍にいる必要はなくなるから。






「本当、北山ってバカ。」


「は？」


「お人好し過ぎんだよ。…俺のがすきなのに。」


「…え？」





俺のが好き？

誰を？





質問したいけどそんな間もなく藤ヶ谷は話し出す。







「北山はさ、わたが可哀想だから付き合ってあげてるんじゃないの？」


「ちが…っ」


「じゃあ心から好きって言える？責任感なんじゃないの？わたと付き合ってるの。」


「…っ」



いつもと様子の違う早口でまくしたてる藤ヶ谷に圧倒される。






藤ヶ谷は昔からいつもこうだ。

なんでも俺のこと見透かして。

俺よりも俺のことを知ってる。







そして…



「じゃあ、俺も可哀想だったら相手してくれるの？」


「…えっ…」




昔から藤ヶ谷は俺の心を揺さぶるのがとても上手い。








俺の両手を掴んだ藤ヶ谷は

段々と距離を詰めてくる。



段々と近づいてくる藤ヶ谷の顔には

もうさっきのような笑顔はない。





こいつ…本気だ。






「ふじ…」



俺の言葉を遮るように

藤ヶ谷は声を発した。






「俺に抱かれてみない？」

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