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止まらなかった、止められなかった。
本当は、清水と話すのも怖かった。
『 強がんな 』
たぶん、そう。
強がっていた。
強くなきゃと、そう言い聞かせて
言葉で武装するしかなくて。
私が弱かったから
私が頑張れなかったから
だから大好きな仕事もやめて
大好きな芸人さん達とも別れて。
また、戻るには、強くなきゃいけないと
そう思っていた。
「 ごめんな、止められんねん、これ 」
笑って見せようとあげる口角も上手くいかない
止めようと目に力を入れても涙は永遠に出てくる
「 本当はあの仕事、好きやねん
でも、やっぱり怖くて、また何か言われたらとか
いっぱい考えてもうて 」
「 あのドンキで買い物してたのも、
少しでも戻りたくて、近くに引っ越して
あそこを買い物の拠点にしてて 」
「 それでも、清水でさえも
やっぱり怖いねん 」
身体の震えも
溢れる涙も
「 私、、 」
リ「 言わんでえぇよ 」
ふわっと香る、柔らかい匂い。
知っている。
この匂いも、優しさも。
全部、知っている。
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その優しさが
脅威になっているのも
私が1番、知っている。
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作者名:ゆぽる | 作成日時:2022年7月20日 22時