[女性向け] 短編夢小説リゼロ (ページ25)

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【ナツキスバル】　恋3 ページ25

騎士さえ来ない。

　スバルは真面目に死を覚悟した。屈強な暴漢が5人、こっちは2人。多勢に無勢、自分をおとりにして彼女を逃がすしかない。そのことをAに告げると、

「私は足が遅いから、スバルと私の役回りを入れ替えたほうがいい」

　などと言い出し、終始聞かなかった。つまりはスバルに痛い目を見てほしくないから自分が代わろうと言っているのだ。
　
「私はいつも鈍臭いだろ？だから、私がここでどっしり構えて、鍛えている君が助けを呼びに行けば、被害は一番少なく済むはずだ。」

あれやこれやとAが説得をする内に、スバルは納得をしてしまった。
こいつなら大丈夫か、と。

　おそらくレムやラム、エミリアのような子ならば、彼女らがいくら強くても逃がす方に回しただろう。それは、彼女らが華奢な女性だからだ。しかし、こいつは自分と同じ男ではないか、と。

これは、彼女を女性として意識せずに過ごしてきてしまったための、大きな間違いだった。

Aは、さっとボクシングのピーカブースタイルをとり、これから殴り合いを始めようという姿勢をした。

相手もそれが分かったのだろう。ナイフやらなにやらを出した相手は、一斉にAに襲いかかる。

それを、スバルは呆然として見ていたが、ハッと気を取り直し、彼らの横をさっと走り抜けて、大通りへ出ていった。

　衛兵はなかなか見つからない。ここの治安が良くない理由が少しわかる。衛兵の人数など、王都に張り巡らせるほどには足りてはいないのだろう。

早くしないと、いくらAでも、危ない。

「助けてくれ、俺の仲間が危ないんだ！」

とにかくあてもなく叫んで助けを呼ぶ。周囲がざわつきはじめた頃、一人の巡回中の騎士がスバルの方へ駆け寄ってきた。

「何があったんだ？」

落ち着いて彼は事情の説明を求めるが、悠長に言っている暇なんてない。

「事情は後でだ、本当に早く来てくれ」

　彼の腕を取り、元きた道を駆け出した。若干不審がっている騎士を余所目に、例の裏路地へつく。

　そこには、暴漢たちに服を剥かれかけている、ボロボロのAがいた。
　