[女性向け] 短編夢小説リゼロ (ページ20)

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【ナツキスバル】DVD2 ページ20

「ああ、すばる、いいところに」

ぎこちない動きで、Aは彼の方を向く。
暑さなど、どうでも良くなっていた。

正直、あまり怒る気はしなかった。驚きはしたけど。
だって高校生だし。年頃だし、男の子だし。仕方がないとは思う。

だだ、やはり気になるのは、私だけでは満足できていなかったのか、という少しの嫉妬と申し訳無さ。

「……」

「あの、スバル、なんでこれを持ってるの？」

「……」
　
彼は、私から顔を背けてだんまりとしている。
　明朗快活な彼にしては、かなり珍しい反応だった。もっと慌てて茶化すなり誤魔化すなりするのかと。
　私が怒っているのではないか、と思っているのだろうか。

「怒ってるわけじゃないんだ。
勝手に見ちゃって悪い気はしてるんだけどさ。
なんでこれを持ってるのか、ちょっと気になって。」
　
「……」

冷静に聞いた。それでも彼は黙りだ。顔も、私からそっぽをむいたままだった。

「なんで答えてくれないの？」

「……」

言いたくないのだろうけど、ごめんとか、これは自分のじゃないとか、適当な嘘でもいいから、なんとか言ってほしい。

「……」

しかしそれでもだんまりだ。
流石に、かなりモヤモヤしてきた。

　あまりにも彼が黙っているので、私のことがそもそもそんなに好きではなかったのではないだろうか、とか、余計なことまで思いついてしまったからだ。
　
　お情けで付き合ってくれているのなら、勘弁してほしい、とか、元から自己肯定感の低い私を、これ以上惨めにするのは御免だ、とか、自分勝手な被害妄想を。

「……ごめん、ちょっと今日は帰る…。」

冷静ではいられなくなりそうだった。子どもみたいな感情が暴れる前に、今日は一旦家に帰ろう。
　泊まりは……また、機会があれば、そうしようと思う。機会があれば。

「ま、待って…！」

　私が席を立とうとした時、真っ赤に火照った顔の彼が、慌てて私を止めた。