生きるスマホ。‐the smart story‐

レシピ ページ10

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「よーし、から揚げ作り、がんばるぞ！」


「お前、何もそこまでしてあいつのために頑張らなくてもいいんじゃねぇか？」


「いいの。あたしがしたいだけだから、ワイノは黙ってて」


私の言葉が効いたのか、ワイノはそれ以上は口を開かなかった。


実を言うと、さっきも母親に怒られて大変だったのだ。


何しろ、頼まれたものとは全く違うものを買ってきちゃったし。


でも、今日の晩御飯は自分で作るという取引で、なんとか許してもらえた。


「にしても、から揚げなんて作ったことあるのか」


「ん？ 無いよ」


「なっ！ ……よくそんなので、から揚げ作りますとか言えたな」


「レシピを見れば、なんとかいけるかなーと思って」


「レシピ？」


「ちょっと使わせて」


「お前っ！ 脂っこい手で触るんじゃねぇ！」


「いいじゃん、ちょっとくらい。我慢してよね」


.


そんなこんなで、珍しくいつもとは立場が逆のままから揚げ作りは進んでいった。


「おい！ ちょっ、油が飛ぶ！」


「うるさいなぁ。文句言ってると油にドボンだよ」


「そ、それだけはやめてくれ」


そして、数十分後。


ようやく、ワイノのレシピを使ったから揚げが出来上がった。


「我ながら、おいしそうな出来上がり！」


「そうか？」


「いただきまーす。……あれ？ なんで？ 味が無い……」


「当たり前だろ。から揚げ粉を付けてないんだから」


「……あっ！」

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