宴 ページ12
歌「皆、ご飯出来たよ…っておやおや、土まみれじゃないか。きちんと手を洗ってきてくれよ。」
床板と足が打ち合う音が聞こえて振り替えるとぷんぷんと眉を怒らせている歌仙様が居た。どうやら歓迎会の準備は終わったようだ。
貴「柳星様、行きましょう。」
フリスビーを拾って軽く土を払って短刀ちゃん達が遊ぶ縄跳びやボールを入れてある籠の中に入れさせてもらってから手を洗い大広間へ。
かた…と障子をあけると一斉にぱあんっと目の前を色とりどりのテープが流れた。甘い火薬の臭い。クラッカーか。ついで隣の柳星様を見るとクラッカーを使ったことがないのか目を真ん丸にして驚いている。
刀「主、就任おめでとう！」
笑顔の刀剣男士達が此方にむかって叫ぶ。
近くの子達が柳星様の腕を引っ張って上座の方へ連れていく。
それからは凄かった。燭台切様の料理は物凄く美味しかったし、短刀ちゃん達が作ったというケーキも可愛くて絶品だった。
それに何よりも刀剣男士も柳星様も凄く楽しそうで…、それだけでうるっときてしまった私はそっと席をたった。
賑やかな大広間を背に縁側へ向かう。ときたまじわりと滲む視界に歳を取ると涙腺が脆くなって厭だなぁと思いつつ足音を殺して歩く。
吃驚したことに先客がいた。
貴「鶴丸様…。」
鶴「おぉ、君も来たのか！酔いざましか？」
貴「いえ、そうではないのですが…。」
鶴「…そうだな。何となくそういう顔はしてないな。何かあったのか？」
貴「…少し話してもいいですか？」
おうという返事に甘えてうるっときた理由を話す。途中からは感極まって涙腺が決壊してしまっていた。俯きがちにぼろぼろと涙を溢す私を見ながら鶴丸様は
鶴「良かったな。」
と言ってくれた。シンプルな一言で余計な飾りが無い分素直に心に染みていった。
涙が止まると結構長い時間が立っていたようで大広間では酔い潰れた刀達が多々居た。柳星様を部屋まで送ってから、酔っぱらい男士達を部屋に運び私も布団にくるまった。
今夜はいい夢が見られそうだ。
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今年の更新はこれが最後です。皆さんよいお年を！
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作者名：きつね | 作成日時：2018年10月31日 20時
