家族愛 ページ27
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“お父さんが倒れた”
その知らせを受けた私は病院へと飛んだ。
私が病室の扉を開けた瞬間、目に飛び込んで来たのは痩せ細った父だった。
こんなになるまで自分を責め続けたのだろうか。
これは…私のせい……？
「立香……？」
「お父さんっ！」
弱々しい声が聞こえ、私はベッドに駆け寄った。
「ははっ……。見苦しいところを…ごめんね。しばらくしたら回復出来ると思うから。もう、気持ちの踏ん切りはついたよ。しばらく立香には迷惑かけるけど…。」
「ううん。大丈夫だから……。ごめんなさい私の方こそ。お父さんが凄く傷付くんだったら、真実なんて伝えなければ良かった…！」
「それは違うよ。私はちゃんと真実を知るべきだった。彼女の気持ちに気づくのが遅すぎた。……彼女の事が知れて良かったよ、立香。」
何故、こうも強くいられるのか分からない。
私はお父さんになにが出来るのだろうか？
「立香。私になにか不満があるなら言ってくれ。困ったことがあったら、なんでも言ってくれ。今度こそは…私は間違えたくないんだ。」
「……私の望みは、お父さんが楽しく生きて…幸せにいることだよ。」
「立香……。ははっ、私は世界一幸せ者だね。こんなことでやられてる場合じゃないね。回復したら、立香に沢山感謝するから。」
「うん……。」
家族というものは、とても温かい……。
「社長がこんなにも娘さんと仲が良いとは思わなかった。社長の一方的な愛かと思っていたが。」
「あー。記憶戻すの忘れてた……。」
病室の外で待っていたゼルが、私に言ってきた。
流石に病室のすぐ外には声ぐらい聞こえるよな……。
ゼルに記憶戻すのすっかり忘れていた。
私はゼルを病室に引き込んで、魔術具を使う。
確か…えっと……。
「運命の歯車よ、我が介入せし行なった道外れた
パッと魔術具が消える。
「メイガス……？」
「記憶が戻ったようで何よりだよ。ゼル。気分はどう？」
「問題はない。大丈夫だ。」
魔術具もそんな多くはない。
使う人間も、慎重に選ばなければ。
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作者名：マリア | 作成日時：2022年7月22日 22時
