月の裏側へ (ページ3)

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『盛り上がっていくよ～！！！！！！！』

私の掛け声とともに始まった半年記念ライブ。

終盤に近づくにつれて歓声はMAXを超え始める。

『まだまだ行けるよねぇ！！！

最後の曲だよ～！！！！！！今日一番の声、出し切っちゃいましょう！』

ライブは人の真似してカッコつける。

ほら、皆も声出して？

『ねぇ！もっと声出して！』

この曲が終われば、あとはトークだけ。

体力もあと少し。

でもあとのことなんて考えない。

今、この瞬間、命が尽きたとしても悔いのないライブを。

目の前の一人一人に届く声を、

感情を、

熱を

全て伝えきる。

全て受け取る。

この一体感が心地いい。

『ありがとう！！！』

水分補給のために舞台の袖に消えた瞬間に、

会場内から大きな歓声が聞こえる。

間を軽いトークで埋めてくれるスタッフさん達が何やらやっているらしい。

なんだろうって思って手放していたマイクを持つ。

『何事ー？』

私が戻っていくとそこにはスポットライトを煌々と浴びる水溜りボンド、トミーさんの姿があった。

『ふぇっ？？？！？？！！』

間抜けな声が出る。

歌い終わった疲労感はまだ抜けてない。

回転の遅い頭は、

トミーさんだ。トミーさんだ。

と騒ぐだけ。

『なんっ？え？？はじめまして……？』

コミュ力なんてどこかに置いてきたのか、言葉が出ない。

向こうも同じらしく、

ト「はじめまして～」

と軽く笑うだけでこちらに来ない。

『本物ですか？』

ト「本物ですね。

…いや、本物って何？」

ﾆﾋﾋｯって笑う姿はいつも動画で見てるその人本人で、

こんな近くで見たのはもちろんのこと初めてで…

そのとき、

おじゃましまーすって

舞台上に上がってくるのは、スタッフさんとてつや。

『てっ、てっ、てつや！やばいよ！！uuumの凄い方が来てる！！！』

知っている顔が現れて私の心は興奮気味に。

『ねぇどういうこと？！？！

水溜りボンドのトミーさんが来てる～！！！

てか居る！！！！』

これが私と彼のはじめまして。

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