みどりとみどり。【うらたぬき】

ご ページ6

うらたさんの言葉をぼんやりと浮かべながら電車に揺られる。確かに人外と全く同じ顔、というのはなにかあるような気もする。


(でもうらたくん、いい子に見えたんだよな……)

考え込んでいるうちに電車は学校の最寄り駅に着いてしまったので人を掻き分けてホームに降り立つ。やっぱりラッシュは嫌い。

人がごった返すホームから階段を降りて改札に向かった時、なんだか見覚えのある後ろ姿を見つけた。


｢……あ、｣
｢あっ！A先輩！｣

浦田くんはにこにこ笑顔でこちらに駆け寄ってきた。男の子にしては身長が低めな彼は前に立つとぴったり目が合う。

｢おはようございます！朝からA先輩に会えるなんてラッキーですね！｣
｢うん、おはよう……？｣

笑顔が眩しい。いきなりの名前呼びに少し心臓が跳ねる。ってあれ？

｢あれ、どうして私の名前？｣
｢あー、部長さんにある程度部員さんの名前は伺ったので！Aって名前が可愛かったのですぐ覚えちゃいました｣

無邪気に言われると変に疑っていたのが申し訳なくなってしまった。うらたさんの考え過ぎ、なのかな……？


｢ほらA先輩、遅刻しちゃいますよ！｣
｢そうだね……ってわぁ！？｣


浦田くんは私の手を引いて駆け出す。待ってこれって手を繋いでいるということで……？




繋いだ手の先でエメラルドが悪戯っぽく細められた。


***
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