Cupid (ページ6)

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彼と所謂友達というものになってから、彼は私に話し掛けるようになってくれた。

「おはよ、Aちゃん。」

「あ、阿部くん。おはよう」

彼が私に話し掛けると隣にいた筋肉質で背の高い人は目を見開いて驚き私たちをみつめる。

「ごめんね、私もう行かなきゃ。」

「ね、今日の空きコマもまた一緒に…」

「あ、うん。連絡するね。」

連絡するとだけ言って彼らから逃げた。

正確には阿部くんから逃げたかった訳ではなく、隣にいた身長の高いふっかさんといつも居る彼から逃げたかった。

初めましての人は怖い。

何をしてくるか分からないから。

空きコマが阿部くんと被ってる時は2人で暇つぶしをするようになった。

学内では阿部くんと私が付き合ってるとか。そういう噂が流れているらしい。

阿部くんに謝られたから知ったけど、別に私にとってそんなのどうでもいい。

ただ、彼に申し訳がない。とそう思った。

「阿部くんこそごめんね、私なんかとそんなウワサ立って」

「Aちゃんとなら、良いかな。」

なんてこの人は自分に気を持たせてくれている。

そう思った。

恋愛経験が豊富な訳では無い、豊富どころかまともな経験はない。

逆に1度もしたことない。そんな純粋な女の子だったらまだ救いようがあるかもしれない

だけど、偽りだらけの恋愛しかしてこなかったから

純粋な愛情を自分自身に向けられるとなんだか気が引ける。

いつもの授業。いつもの特等席。

いつも通り私の後ろにはあの人たち。

何も変わらない講義室だ。

「え、翔太いんの珍しいじゃん」

「噂で聞いたんだけど阿部ちゃんに彼女出来たってまじ？」

「そんなんLINEで聞けよ」

いつも通りのメンバーだと思っていたらいつもは居ないはずの人がそこには居て、最近学内で話題になってる噂のことを話してる。

その噂の相手目の前に居ますよ。なんて思いながら、阿部くんにまた申し訳ない気持ちになる。

「教えてくれなさそうじゃん。」

「俺らも知らないんだよねぇ。なんで教えてくれないんだろ。」

「んで、相手は？どんな美人？どこの学部？」

なんで美人限定なんだろうなんて思っても、声を出すわけにもいかずただ聞き耳を立てる。

「余計な話すんなお前ら。」

「あれ、阿部おはよ。珍しくね？こんなギリに来んの」

「まあ、ちょっとね。」

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