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そんな友達、私にはいないから。
「最近は同じグループだった後輩も入ってきたりしてもっと大学内でわちゃわちゃしてるみたいだけど。」
大学の図書館で話すには声が大きかったのか、その後直ぐに図書館の司書さんから図書館では静かに。と注意されてしまった。
「喋り過ぎちゃったね。空きコマならさ…
カフェ行かない？もっとAさんと話したい。」
なんとなく、なんとなくだけど。
私も彼がもっと知りたいと思った。
「そうですね。是非。」
彼と2人で図書館を出て、大学から直ぐのカフェに行く。
「阿部さんって意外と普通なんですね。」
「え、どうゆうこと？」
「なんか、もっと物静かで勉強しかしてないのかと思ってました。イメージ的に」
首席なんてそんなもの。私の勝手な想像が彼のイメージを作り上げていた。
「そんなこと言ったら、Aさんもだよ。もっと難しい人だと思ってた。」
「それ褒めてますか？」
「褒めてるよ。思ったよりちゃんと女の子なんだなって。みんなの高嶺の花的な存在だったし。」
そんなふうに周りに思われてたなんて初めて知った。
そんなことないと思っていた。高嶺の花なんてそんなことないのに。
ただ、人間関係を構築する部分は欠如していると自分でも分かっていた。
多分。
誰よりも苦手だ。友達とか恋人とか。
1度も本当の恋をしたことが無い。
「良かったら、同い歳だしタメ口で話さない？俺ら、ちょっと似たもの同士っぽいしさ。」
「似たもの同士ですか…？」
「ほら、タメ口で話そうって。似たもの同士だと思うよ。俺も友達いないからさ。あいつらだけなんだよね。友達って」
「私は友達って呼べる存在居ないですよ…。」
私がそう言うと彼は笑ってくれた。
「だから、俺がAちゃんの友達。」
そう言って阿部さんは自分のメッセージアプリの友達追加に使うQRコードを私の前に差し出してきた。
「Aちゃん、追加してよ。俺のLINE。」
「え…、？」
「俺と、友達嫌だ？」
断れ無い言い方を彼は知ってる。
あざといというか、狡い。
頭の良い人間は賢い。それで言って狡い。
私の数少ない友達の欄に彼の名前が増えた。
"阿部 亮平"としっかりフルネームで入れてるところも彼らしいと、そう思った。
「何でも話してね。ふっか達がうるさかったら怒るからそういうのも教えてね？」
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作者名：はる | 作成日時：2021年3月20日 16時
