Cigar Kiss. (ページ5)

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「これふっかがAに聞けって言ってきたけどめちゃくちゃ嫌だな」

「なんでよ、急に」

「だって、Aから他の男の名前聞かないといけない訳じゃん？Aならヘルプ興味無いからって言うかと思ってたし」

急な照のそんな発言にびっくりする。いつもは絶対言わないし、大きい体のくせに小さい事を言ってる照なんて珍しい。

「今日どうしたの？疲れてる？」

「は？もういいわ。」

「拗ねた？拗ねちゃったの？」

照の事少し煽ってみると照は私の事見ながら"んな訳ねえだろ"って言うもんだからほんとに今日の照は分からない。意外と純粋無垢な部分もあるし毎日ジムに行って筋肉と仲良ししてるのも知ってるし、他のお客さんが知らない面もいっぱい知ってる。

「俺、辞めようかなって思ってるんだよね」

「えっ…？」

「ほら通ってるジムの人、人員足りないらしくてトレーナーやってみないか？って」

ジムトレーナー。照にはぴったりな仕事だと思う。

でも、照がこのお店を辞めてしまえば彼に会えなくなってしまう。だけど、こういう世界を上がれるきっかけに居るのであれば暗黙のルールで止めてはならない気がする。

「へえ～良かったじゃん。ジムトレーナーなんて照向いてるね」

「Aなら止めるかなって思ってたんだけど」

止めたい気持ちは凄い分かるしどっちかと言ったら止めたいんだけど、やっぱり止めちゃいけないんだよなって思ってしまう。

「この業界から足洗えるならそれはそれでいいんじゃないかな？って思っちゃうよ。性別は違えどどんな事しなきゃいけないとか、そういうメンタル面も分かるし。」

「もし、Aとも会えなくなっちゃうかもって言ったら？」

「それは…やだなあ。なんて照に依存してるし照が居るから私今も頑張れてるから。頑張れる理由が無くなっちゃう…ね。」

会えなくなるって照の口から聞くとは思ってなかった。
確かに私達はこんなに長い間会ってお酒を飲んで時にはいわば営業という形でではあるが身体を重ねてってしたりもしてる。

だけど私達はそれでもあくまで客とホストでしかなくて、彼にとって私はただの上客でしかなくて、それ以上にはなれないんだ。

＿＿＿＿＿そう彼から言われてるみたいだった。