優先事項 ページ9
目をゆっくりと開ける。
窓はカーテンが閉められているのか部屋は薄暗い。
布団の下にタオルケットがかぶせてある。
きっと、私の体温調整のためだろう。
寝すぎたゆえの気持ち悪さに顔をしかめてのろのろと起き上がる。
筋力が衰えているのか体が重い。
サイドテーブルのレモン水に口をつける。
この部屋にはカレンダーが付けられていないので確認できない。
そもそも、カレンダーがあっても確認はできないなぁ…
同じくサイドテーブルに置いてあるベルを手に取る。
少し魔力を感じるところ、これを鳴らせば誰かしらに伝わるようになっている仕組みだろう。
チリリン…綺麗な音色が響く。
まるで色がないこの部屋を満たすように。
少し乱暴に開けられたドアの前にはキャロルが立っていた。
「っ！Aさん、目が覚めたんですね！」
駆け寄られた彼女の目尻にはうっすらと涙が浮かんでいる。
…自分はそんなに長いこと眠りこけていたのだろうか…
ーーーーーー
すでに学校が始まった後、それも１月の後半になっていたらしい。
謎の発作で倒れた私は定期的に魔力を供給され、寝続けていたと…
『…レギュラスは戻ったんですね…？』
まだ少しぼんやりする頭に手を添え、ベットサイドに立つ二人を見上げる。
換気をするために開けられた窓からは冷たい空気が送られてくる。
熱のこもった身体を優しく冷やす。
「はい
ここに残ることも検討したようですが、学校のことを優先されました。」
ゆっくりと頭を上下させた。
バーティがあの学校にいる限りはハリーを見守り、必要に応じてカモフラージュをしながら手助けをするのが最優先事項。
『フィニ、学校まで行くのに力を貸してください。
姿くらましでどの辺りまで行けますか』
そもそもなかった筋力がさらに衰えた身体を起き上がらせる。
魔力を身体中にめぐらせて色々補っていたので些細なことでも疲れてしまう。
流石に、色々とやばくなってきた
「…部外者の僕には一番外の結界までしか。
ダンブルドアにフクロウ便を送っておきますね」
「っまだ身体を休めていないと！
顔が真っ青です」
キャロルが私の左手を手に取った。
手先が冷たいのが和らぐ。
体は熱を持っているのに、末端だけはいつも冷たい…
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
