【ハリーポッター】吸血鬼少女とあの方【８章】 (ページ8)

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不調ページ8

苦しさで生理的な涙をえぐえぐ言いながら流していたらいつの間にかパジャマ姿のレギュラスに背中をさすられる。
度々込み上げてくる何かしらを落ち着けるように少しずつ体が前傾になっていた。

「すみません、僕ももう少し気をつけるべきでした。
風邪をひいていた貴女を午前も午後も机にいたのを止めれば、良かったですね。」

獣のように荒い息をゆっくりと落ち着かせていく。

『…いえ…大丈夫、です』

状況的には何も大丈夫ではないのだが、悲しそうなレギュラスの声にとっさにそう言ってしまった。

というより自分は何年生きてきた…体調くらい自分で管理しなくてどうする。

「…少しは、落ち着きましたか？
全て出し切ってしまったようなので」

パタパタと夜の部屋で音がしたのを不審に思ったのか誰かがドアをノックした。

壁にもたれて未だバスルームの床に座っていれば、遠くからフィニの声が聞こえた。

「申し訳ないのですが、Aがのぼせて戻してしまって…風邪をひいてたのもあるかもしれません…
カモミールティーと、できれば薬を持ってきてもらえませんか？」

「もちろん、すぐに用意します」

廊下から少し速い足音が聞こえた。

再び戻ってきたレギュラスに手を伸ばして引っ張り上げてもらう。

冷たい壁を伝ってベットの方に向かう。
サイドテーブルの上に置かれたカラフェからグラスに注がれたミントの入った水を一気に飲み干す。

水分が行き渡る感覚と共に胃の中が異物と判断したようでむせかえる。

ヒュッとあまり聞きたくない音が喉から漏れる。

身体を少し冷まそうと窓を少し開けていたのがいけなかったのだろうか…
ベットの周りにだけ残る冷たい空気が喉を刺激する。

吐き気で気づかれなかった胸の痛みが突然襲いかかる。

『っぐ…ひゅ…』

いつだったか身体を縮める薬を飲んだ時にも感じた痛み。

…これは体内の魔力が問題のある場所へと集中して心臓周りの組織に魔力が回らなくなり、拒絶反応を起こしているのか？

それなら説明もつく。

身体を縮めた時に身体を瞬時に慣らすために調節したための魔力消費。

魔法使いが持つ魔力でなく、吸血鬼が持つ特有の血の魔力。

貧血状態の私の体には思い当たる節が多すぎる。

　

ドクン

大きな痛みの波が私を襲う。

声にならない悲鳴をあげて、私の意識は闇に引きずり込まれてしまった。
　
　